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平成20年度リスク研究センター助成研究報告 0802

機関投資家にフィットする信用リスクスプレッドモデルの提案

ファイナンス学科 教授 久保英也 


 格付けを中心に市場が決める信用リスクスプレッドは、時にバイアスがかかる。本論文では、機関投資家が独自の予測に基づき、破産確率と信用リスクスプレッドを算出できるモデルの構築を目指した。いわゆる構造型モデルの枠組みに、誘導型モデルの破産確率を外生的に与える仕組みを組合わせた独創的な計量モデルとなっている。
 その結果、同モデルは、 (1)長期の信用リスク評価において不可避な景気循環の影響を信用リスクスプレッドに反映(キャッシュフロー予測モデル)、 (2)ストレステストにより、最悪時のリスク度を評価、
することができる、という大きな特徴を有する。
 同モデルを用い、日本のガス産業を対象に算出した信用リスクスプレッドは、市場のスプレッドと比較して合理的な数字を示し、長期の信用リスク判断に有効な手段となることが実証された。信用リスクスプレッド評価モデルは、信用リスクの「期間構造」をスプレッドにより表現することを可能にしたことから、機関投資家の信用リスク管理の強化と融資分野の収益力強化に寄与するものと考えられる。

研究成果発表の時期と方法
・平成20年7月発行の彦根論叢第374号に、 「融資価格を算出する信用リスクスプレッド評価モデルの提案」として掲載された。
・また、「キャッシュフロー予測モデル」については、さらに研究を進め、日本リスク研究学会会誌(Vol.18 No.1,August2008)に投稿、査読論文「景気循環を反映した長期キャッシュフロー予測モデルの提案」として採択された。


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