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平成23年度リスク研究センター助成研究報告 1001

負債測定における「信用リスク」の取り扱い

会計情報学科 准教授 赤塚尚之 

2年間にわたり、負債測定における信用リスクの取扱いについて、現行制度の取扱い、および基本的な論点の整理を行った。そのうえで、さらに個人的に関心を有している非金融負債(とくに資産除去債務)の公正価値測定に際した取扱いについて重点的に検討を行った。
信用リスクの取扱いをめぐっては、慎重論も根強いが、当初認識に際して信用リスクを反映し、事後測定に際しても引き続き信用リスクの変動を反映すべき状況が存在しうることもまた事実である。本研究では、そのことを踏まえ、信用リスクを積極的に反映すべき一般的な状況を示し、それが資産除去債務に当てはまるのか検証を行った。
その結果、当初認識に際しては対価の受取りのないこと、また、事後測定に際しては、(1)資産除去債務は有形固定資産の除去後に義務を履行するものであり、それ以前に決済することが想定されないこと、(2)資産除去債務に対応する資産相当額は関連資産の取得原価に算入されており、時価評価されていないことから、資産除去債務については信用リスクを反映する条件を満たさず、本来ならば信用リスクを反映する余地のない負債項目であるとの結論に至った。
そのような結論を採ることもできることを明らかにしたうえで、制度をいかに設計すればよいのかということが、今後の課題である。

【研究成果発表の時期と方法 】
前年度より取り組んだ論点整理については、2012年3月「非金融負債会計の再構築」を、花堂靖仁・高橋治彦編著 『近未来の企業経営の諸相―2025年―』 に所収。
非金融負債の公正価値測定における信用リスクの取扱いについては、日本会計研究学会(2012年8月30日~9月1日)における自由論題報告にエントリーしている。報告前にワーキングペーパー、報告後に論文を公表する予定である(いずれも2012年度の研究成果として扱われる)。



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