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平成29年度リスク研究センター助成研究報告 1701

新自由主義と企業統治論

経済学部教授 伊藤博之 


 本研究では、新自由主義の経済政策の浸透がもたらした企業経営の変質について、コーポレート・ガバナンスの領域を中心に、理論的、歴史的に考察することでした。経済政策(政治)が企業経営に大きな影響を与えることは意外に経営学では見過ごされている論点ですが、コーポレート・ガバナンス改革を考えるうえでこの点を見過ごすことはできません。
 周知のように、新自由主義の原理は、「自由な諸個人や諸機関の調整を市場に委ねること」にあります。このような新自由主義のアイデアは、企業経営においては次のような原理に置き換えられます。「個人(社員)の自由が強調され、市場原理に類する調整機能が重視される一方、マネジメントの役割は、個人が自由に振る舞う背景となる組織環境の構成に介入することが強調される」という原理です。
 こうした原理が、コーポレート・ガバナンスをめぐる議論に影響を与える点やその理由、および、それに関する歴史的経緯を、本研究では、経済学、経営学、社会学、政治哲学などの諸文献のレビューを中心として整理しました。

【研究成果発表の時期と方法 】
 本研究で学んだ自由と統治の関係性については、下記の書籍の理論的フレームワークやコラムの前提となったが(河合篤男・伊藤博之・山路直人(2017)『100年成長企業のマネジメント』日本経済新聞社、吉村典久・田中一弘・伊藤博之・稲葉祐之(2017)『企業統治』中央経済)、そこではまとまった形では提示されていない。
 本研究の報告としては、今年度夏季に原稿が締め切られる彦根論叢(第418号)に論文を掲載するための投稿申込みをしているところなので、それを成果報告としたい(当該論文の刊行後提出する)。


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