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平成23年度リスク研究センター助成研究報告 1103

明治維新~産業革命期の社会的リスクの実態調査と
その対応策の実証研究

経済学科 教授 筒井正夫 

静岡県御殿場地方へ4回赴き、明治維新から産業革命期における社会的リスクの実態を、税負担や経済競争の激化による階層分解の在り方、山野の乱伐等の自然環境の変化や自然災害の実態、それらに伴って発生した伝染病等の被害状況の3点に焦点を当てて、調査した。さらにそれらの社会的リスクに対処するための地域社会の自律的救恤組織や企業による救恤活動の実態を調査した。
今回の調査によって、上記の社会的リスクの実態把握のための基礎的資料や情報については、ほぼ収集することができた。また地域社会の自律的救恤組織については、約50ある村落のうち3分の1近くが、幕末に結成した共有金穀(金銭並びに飯米と籾)の共同組織を持ち、そのほか二宮尊徳らが推進した報徳社や庶民金融組織である講や無尽を多数組織していたことが判明した。特に共有金穀の組織は、村民から集めた米や村財政の余剰金等を原資として、村民への金銭や籾・飯米の貸付けを行い、また明治政府によって義務付けられた小学校や隔離病舎建設といった高負担の公共事業への補助として支出されていたことも明らかとなった。
企業の救恤活動については、隣接する小山町に設立された富士紡績会社が行った従業員救済・保険組織、水害や火災並びに伝染病への対策について、基礎的資料を収集することができた。

【研究成果発表の時期と方法 】
今後さらに調査を続け、調査結果の分析を進めて、その成果の一端を2年以内を目途に『彦根論叢』など学内紀要に発表したい。


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