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企業経営学科准教授 柴田淳郎
研究計画に基づき、私と帝塚山大学専任講師である曽根秀一とで主として地域に根差した長寿企業に関するデータ収集を実施した。結果、彦根地域、静岡県西部地域、東京都都心に立地する老舗企業に関するインタビューデータ、資料及び史料が収集できた。研究期間がまだ1年ということもあり、調査対象企業数は限定的で、更なる調査が必要とされるが、長寿企業の取引ガバナンスや暖簾制度、分家制度、別家制度が果たす経営上の役割が明らかにされ、企業が長期存続する要因を解明する上で、今後鍵概念となる可能性があるいくつかの制度的要因が明らかとなった。特に彦根の仏壇産業の調査においては、独特の取引制度が形成されており、共同体を基盤とした競争と協調のあり方とその意義、創業と分業構造の形成メカニズムが解明されつつあり、日本の伝統産業の制度的叡智の一端が明らかにされつつある。
【研究成果発表の時期と方法 】
今後、更なる調査を積み重ね来年度8月に実施される六甲ビジネスシステムカンファレンスをはじめ、各種学会での報告及びディスカッションペーパーの作成を中心に研究成果を発表していきたいと考える。