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平成30年度 第2回リスク研究センター客員研究員ワークショップ

リスク研究センターでは、平成31年2月15日(金)、客員研究員によるワークショップ第2回目を開催いたしました。

日 時:平成31年2月15日(金)14:30~16:20
会 場:滋賀大学 彦根キャンパス セミナー室Ⅰ(士魂商才館3F>
平成30年度研究テーマ:社会科学分野におけるリスク研究20190215poster.pngのサムネイル画像

【発 表 者】

林史明 氏・京都府職員・神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学
田島正士 氏・京都外国語大学 非常勤講師・博士(経済学、滋賀大学)
Maeda Brooke Alexandra 氏・早稲田大学 商学学術院 ビジネス.ファイナンス研究センター助教・博士(経営学、大阪大学)
※ 発表予定者の橋本京子 氏 (博士・京都大学(教育学)の『大学生における、身近なリスクに対する認知・リスクへの対応とポジティブ志向の関連―ポジティブ心理学の立場から―』に関しましては、発表者都合により3/8(金)11:00-11:30の研究発表予定となります。

【ワークショップ総評】

文責:社会システム学科准教授 松下京平

ファイナンス学科准教授 菊池健太郎

  2月15日(金)に平成30年度第2回目のリスク研究センター客員研究員ワークショップが開催されました。今回の研究テーマは「社会科学分野におけるリスク研究」となっており、田島正士氏(京都外国語大学非常勤講師)、Maeda Brooke Alexandra氏(早稲田大学商学学術院ビジネス・ファイナンス研究センター助教)、林史明(京都府庁)の御三方による研究報告から構成されています。それぞれ理論および実証の両視点から大変興味深い内容でした。

生物多様性と環境経済評価 田島正士 氏 (京都外国語大学 非常勤講師)
 田島氏による「生物多様性と環境経済評価」では、まず環境評価手法の現況を整理した上で、P1040695.JPG現在の環境評価手法の枠組みでは生物多様性(ストック)が私たちにもたらしてくれる有形・無形の価値(フロー)を適切には捉えきれていない現実が紹介されました。そして次に、生態学的知見と経済学的知見を統合し、生物多様性によるフローを算出する手法を新たに開発段階であることをご説明いただきました。利用可能な統計データの制約のため、理論的に導き出される知見を実証的に検証することは現時点では難しいですが、今後、データ蓄積が進むことでさらなる研究の深化が期待されます。

The value factor in Japanese share returns Maeda Brooke Alexandra 氏P1040704.JPG             (早稲田大学商学学術院 ビジネス・ファイナンス研究センター助教)
 Maeda氏の「The Value Factor in Japanese Share Returns」は、株価リターンの決定要因を分析するという、ファイナンス理論の中核を長年担ってきた研究分野に位置付けられます。日本株のリターンは「バリューファクター」の説明力が強い(簿価時価比率が高い株ほど株価リターンが高い)と幾つかの先行研究で指摘されています。今回の研究は、日本株リターンの決定要因の深掘りを試みるもので、総資産粗利益率のような「収益性ファクター」が説明力をより高めるのではないかとMaeda先生は睨んでいるようです。実証分析の結果がとても楽しみです。

自殺行動の経済分析 林史明 氏(京都府庁)
 林氏は「自殺行動の経済分析」という研究を報告されました。P1040705.JPG本研究は前年のワークショップでの報告内容をさらに充実させたものであり、自殺を行う人々の心理状況、自殺の社会的費用の考え方、そして自殺に関する実際の統計データの推移を紹介して頂きました。その結果、女性よりも男性が、日本では高齢者よりも若年層の自殺率が高いことを明らかにしています。その上で、自死念慮者とそれを引き止める支援者の関係をゲーム理論の枠組みから説明しようとする試みについても紹介くださりました。その上で、自殺を食い止めるために私たちはどのようなことができるのかについても、京都府の自殺防止に関する具体的な対策事例を実際のサポート体制や法的制度などを挙げつつ紹介してくれました。


 どの報告においてもフロアから様々な質問やコメントがあり、議論も大いに盛り上がりました。報告者の皆さまの今後の研究に繋がると同時に、ワークショップ参加者の皆さまの知的好奇心を刺激するものであったと思います。

P1040715.JPGP1040709.JPGのサムネイル画像のサムネイル画像20190215プログラム.png

                   ■プログラムはクリックすると拡大されます。

事務取扱:滋賀大学経済学部附属リスク研究センター事務局
e-mail: risk@biwako.shiga-u.ac.jp      
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