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平成30年度 International Financese先端研究セミナー 20180522

リスク研究センターでは、平成30年5月22日(火)、Yin-Wong Cheung氏をお迎えして、International Finance先端研究セミナーを開催予定です。

  日 時:平成30年5月22日(火)16:10~17:10 
  会 場:滋賀大学 彦根キャンパス セミナー室Ⅰ(士魂商才館3F)
  演 題:『The RMB Central Parity Formation Mechanism: August 2015 to December 2016』
 講  師:Yin-Wong Cheung氏(Hung Hing Ying Chair Professor of International Economics 
                Department of Economics and Finance City University of Hong Kong)  


【講演者紹介】
Yin-Wong Cheung教授は、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)教授を経て、2011年から香港城市大学教授として国際金融を中心とした研究で国際的に活躍されています。
研究活動(国際学術誌掲載論文や被引用数等)を評価したRePEcランキングでは、Cheung教授は世界トップ1%のリストに名を連ね、現在UCSCの名誉教授でもあります。

【講演背景】
著しい経済成長によって世界第二位の経済大国になった中国経済の動向は、世界の経済学者や政策担当者の注目を受けています。中国の通貨である人民元(RMB)が中国経済の強さを反映せず、(他国通貨に対して)安く評価されすぎていることが国際的な問題として何度も取り上げられてきました。そのような状況を背景として、従来の対米ドルレートを固定させるドルペッグ制度から何度も為替制度は変更されてきて、現在の強い規制下の変動相場制度を採用しています。今回の研究報告は、直近の為替制度変更において、中国人民銀行の為替レート決定方式をデータによって解明しようという試みです。国際的にも関心のあるテーマであるため、ワーキング・ペーパーの時点でも研究内容がFinancial Times(金融専門の世界的に有名な新聞)に取り上げられ、香港金融管理局(HKMA)に所属する共著者が困った立場になったそうです(笑)。

【講演内容】
 人民元の中央値(central parity)の設定方式は2015年8月に変更されました。中央銀行である中国人民銀行が公表している情報によると、(i)昨日の市場の終値、(ii)需給状況、(iii)主要通貨の動向、に基づき毎日新しい中央値が公表されます。既に2005年から採用されている方式ですが、特に三点目が意味することは、2005年までに用いられていたドルペッグ(クロール)制度では米ドルだけに対して人民元レートを固定(調整)していたのですが、現在ではユーロ等の他の主要通貨の平均に対して調整するバスケット制度を採用していることです。
 今回の研究では、人民元の中央値がどのような要因によって決定されているのかをデータで明らかにしようという試みです。回帰分析の枠組みでは、日々の人民元の中央値を被説明変数(回帰式の左辺)として、説明変数として人民元レートであるCNY(中国内市場取引)とCNH(オフショア市場取引)の市場終値の中央値からの乖離、米ドルレート、バスケット通貨レート等を中心にしたものです。Cheung氏達が最初の実証分析で発見した中間結果は、中国政府の公表にも関わらず主要通貨のバスケットは人民元の中央値に影響を与えていないということでした(この結果がFinancial Timesに取り上げられました)。 この中間結果に著者達も気にかかることがあったので、さらに分析を深めていきました。そこで着目したのは、中国人民銀行は常に一定のルールで中央値を設定しているのではなく、人民元・外為市場のボラティリティに応じて設定方針を調整しているのではと考えました。回帰分析の枠組みとしては、人民元市場レートボラティリティ(人民元レートリターンの標準偏差)と各変数の交差項を追加的な変数として導入しました。その結果、中間報告では統計的に有意でなかったバスケット通貨が、市場ボラティリティの高い時には人民元中央値を決定する一要因になっていることを示すことが出来ました。 リスク研究センターのセミナーを依頼した3月時点では、まだワーキング・ペーパーだった研究でしたが、今年の9月に国際金融分野の権威のある国際学術誌Journal of International Money and Financeに掲載が確定しました。

【後記】
 Cheung氏との研究交流は、私が前任校でのサバティカルで、USCSにて2002年夏から一年間を過ごしたことがきっかけです。当時、利用させてもらった研究室が、Cheung氏の研究室の二つ隣だったため、特に深い交流が出来ました。帰国後も、Cheung氏の編著本にchapterを寄稿する機会や、(これはあまり嬉しくないですが)Cheung氏がco-editorを務める国際学術誌のレフリーを(直接依頼で)何度も引き受けることもありました。今回の交流からは、City University of Hong Kongの研究グループに参加することにもなりました。 http://www.cb.cityu.edu.hk/research/gru/affiliates/

(文責 ファイナンス学科教授 吉田裕司)

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20180522poster.png □ クリックするとポスターが拡大されます。

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