日 時:平成30年5月17日(木)16:10~17:10 会 場:滋賀大学 彦根キャンパス セミナー室Ⅰ(士魂商才館3F) 演 題:『長期経済成長における土地と自然資源の役割について』 講 師:堀井 亮 氏(大阪大学 社会経済研究所 教授) |
講師紹介
堀井亮氏は京都大学工学部、同大学院経済学研究科修士課程を修了後、大阪大学大学院博士課程で学び博士号(経済学)を取得された。専門は、マクロ経済学、経済成長理論、環境経済学などである。その後、大阪大学経済学部、東北大学経済学部を経て、現在、大阪大学社会経済研究所教授。論文は、Journal of Public Economics, Macroeconomic Dynamics, Oxford Economic Papers, Journal of Economics Dynamics and Controlなどの国際的一流誌に多数掲載されている。
セミナー概要
今回のセミナーでは、まず、多くの経済成長理論で用いられているコブ・ダグラス型の生産関数は労働増大的な技術進歩としか両立しないという日本人経済学者宇沢弘文先生による古典的な結果が紹介された。だが、これは、(おそらく宇沢先生も気づいておられたであろうが)やや不自然である。堀井先生の報告では、労働、資本に加えて、第3の生産要素として土地(自然資源)を加えることが、このパラドックスを解決するために有効であることが示された。
宇沢弘文先生はアメリカで活躍した日本人経済学者の走りであり、帰国後は成田問題などでも存在感を発揮された方である。アメリカでは、二部門経済成長モデルなどの研究で多くの論文を世界のトップジャーナルに発表され、世界的にも注目された。残念ながら、近年では世界で活躍する日本人経済学者は縮小傾向のようで(申し訳ありません(汗))、宇沢先生の後に続き、世界の経済学にインパクトを与える人材が持ち望まれている。今回の堀井先生の研究がウザワ・パラドックスを解決するキーであると認められれば、世界の経済学に対する日本からの貢献が新たに生まれたことになるだろう。
(文責:ファイナンス学科准教授 近藤豊将)
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