・講演日時:2026年6月8日(月)14:30-16:00
・表題:詩と出会う場としてのアンソロジー ~『名詩の絵本』100篇の選び方~
・講師:川口晴美(詩人)
・開催様式:オンライン
・参加対象:どなたでも
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開催概要
本講演会では『やがて魔女の森になる』(思潮社、2021年)で第30回萩原朔太郎賞を受賞された詩人の川口晴美氏を講師にお招きします。
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~川口晴美さんからのメッセージ~
ちょっと詩を読んでみたいなと思っても、誰のどんな詩集を手にすればいいか、よくわかりませんよね。そういうときは、さまざまなタイプの詩が並んでいるアンソロジーをどうぞ。好みの1編が見つかったら、そこから詩の世界の散策が楽しく始まります。今回はアンソロジー編者としてのお仕事話をまじえつつ、詩の魅力をお話しします。
開催報告
本講演では、『やがて魔女の森になる』(思潮社、2021年)で第30回萩原朔太郎賞を受賞された詩人の川口晴美氏を講師にお招きし、「詩と出会う場としてのアンソロジー ~『名詩の絵本』100篇の選び方~」という題目で、アンソロジーの魅力についてお話しいただきました。
川口氏は、『名詩の絵本』(ナツメ社、2009年)、『名詩の絵本II』(同、2010年)、『詩の向こうで、僕らはそっと手をつなぐ。』(ふらんす堂、2014年)、『小さな詩の本』(リベラル社、2022年)等、たくさんのアンソロジーを編集されています。アンソロジーを編集することは、いわば、詩の案内人となり、読者を詩の世界にいざなう役割を担うことです。川口氏の編集するアンソロジーには、詩を読んでみたいと思ってもどこからはじめたらいいのかわからない人にも、アンソロジーを通して好きな一篇を見つけてもらえたら......という詩人の願いが込められています。
本講演会では川口氏の『名詩の絵本』から「金魚」(北原白秋)、「落日―対話篇」(辻征夫)、「I was born」(吉野弘)、「風景 純銀もざいく」(山村暮鳥)、「春」(安西冬樹)の5篇を取り上げ、参加した30名あまりの学生に、各詩の持つ魅力はもちろん、一篇の詩の多様な読み方、また、詩の形式や種類についても丁寧に説明してくださいました。日本語の近現代詩が明治以降の翻訳詩から発展したことに触れ、翻訳詩がこのアンソロジーには収録されていること。詩は行分けされているとはかぎらず、「I was born」のような散文詩があること。「春」のような1行詩もあること。「落日―対話篇」にみられるように、ドラマ仕立て、あるいは映画のスクリプトのような対話形式でも成り立つこと。視覚で楽しめるように工夫がされている「風景 純銀もざいく」のような詩もあること。「金魚」を例に、童謡や歌もあること。詩の世界がいかに自由で幅広いかを体験できるご講演でした。
本講演は参加型ですすめられ、ひとつひとつの詩を読んだあとには川口氏から学生に対してその詩についてのアクティビティが課されました。たとえば、たった一行の詩である「春」に、「別のタイトルをつけてみましょう」。「風景」の「いちめんのなのはな」のように、「繰り返してもホラーにならない一行を書いてみよう」。学校教育のなかで詩を学んだときのように、詩の意味を考えたり、正解に悩んだりしなくていい。『名詩の絵本』の「まえがき」にあるように、「どこまでも自由に想像力を羽ばたかせ、ひとつひとつの詩の言葉を受けとめ」ていけばいい。読者であるわたしたちひとりひとりが書き手になる体験を通して、詩を読むことは(実は詩を書くことと同様に)クリエイティブである、ということを学生も体感できたと思います。これをきっかけに創作に興味がでた方、詩の教え方に興味を持った教育学部のみなさんがいたら、川口氏と渡邊十絲子氏の共著書『ことばを深呼吸』(東京書籍、2009年)をおすすめします。
詩を読むということは、意味を理解することでも、正解を探すことでもなく、言葉が持つ情報の伝達以外の力を体験することなのだ、ということが伝わってくるご講演でした。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
参加者:学生(教育・経済・データサイエンス学部)30名余、教育学部教員2名、他大学教員1名。
(文責:経済学部教授・菊地利奈)
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