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リスク研究セミナー(20260428)

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  • 日時:2026年428日(火)10:30-12:00
  • 表題:「我が国のGX推進の考え方と最新動向」
  • 講師:天達泰章氏(GX推進機構・上級研究員)
  • 場所:校舎棟2F 第15講義室
  • 開催形式:対面

講演概要

GX(グリーントランスフォーメーション)は、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)の実現に向けた取り組みとして注目されています。産業、地域、暮らしのあり方など、社会の仕組みそのものを変えていく可能性のある大きなテーマです。本講演では、GX推進に携わる実務家から、日本のGX推進の動向についてわかりやすくお話しいただきます。これからの社会の変化に関心のある方は、ぜひご参加ください。


講師ご経歴

一橋大学経済学部卒、経済学博士。

2002年日本銀行入行。同行では金融市場局、政策委員会室、金融機構局、調査統計局に在籍。また、この間、総務省自治財政局や内閣府経済財政分析担当にて債券発行実務や経済金融分析を担当。その後、三菱UFJ銀行市場企画部・資金証券部などを経て、2020年には内閣官房兼内閣府規制改革・行政改革担当大臣直轄チーム参事官補佐、2021年にはデジタル庁デジタル臨時行政調査会事務局企画官。20247月からGX推進機構で上級研究員。20254月から信州大学特任准教授を兼務。著書に『経済財政白書』(平成2425年版)、『日本財政が破綻するとき:国際金融市場とソブリンリスク』(日本経済新聞出版社)。


講演報告

 天達泰章様(GX推進機構・信州大学特任准教授)に、GX(グリーントランスフォーメーション)の最新動向についてご講演いただきました。本講演は「証券分析とポートフォリオ・マネジメントⅠ」の授業の一環として実施され、履修者を含め150名以上が参加しました。

 CO2排出による地球温暖化が、異常気象や海面上昇など深刻な影響をもたらすことが懸念されるなか、各国は2050年のカーボンニュートラル、すなわち温室効果ガス排出量の実質ゼロを目標に掲げています。

 講演では、CO2排出量を経済活動、エネルギー効率、エネルギーの脱炭素化という観点から捉える考え方が紹介されました。日本では省エネの取り組みが進んできた一方、2050年のカーボンニュートラル実現には、エネルギー供給の脱炭素化をさらに進めることが重要であり、そこでGXが大きな意味を持つと説明されました。GXは、経済成長を維持しながら、エネルギーの使い方や供給構造を転換し、カーボンニュートラルの実現を目指す取り組みです。政府は今後10年間で150兆円超の官民投資を促す方針を掲げています。

 GX推進の鍵を握る技術にも言及がありました。例えば太陽光発電では、国内企業が開発を進める「ペロブスカイト太陽電池」が「軽い・薄い・曲げられる」という特徴を持ち、工場や商業施設の屋根、壁面などへの設置が期待されています。一方で、コストや事業リスクが課題であり、政府も導入支援を通じて後押しを進めています。さらに、太陽電池の設置促進に向けた制度整備も進められています。他の再生可能エネルギーでは、深い海域でも導入が期待される浮体式洋上風力発電のほか、火力発電における水素・アンモニア混焼や、海外も含めた供給網の構築についても説明がありました。

 また、10年間で150兆円規模に及ぶGX投資を進めるうえでの金融面の取り組みについても説明がありました。日本政府は、GXの先行投資に係る支援を目的に「GX経済移行債」と呼ばれる国債の発行を2024年に開始しています。同債券の購入を積極的に表明している投資家には、生命保険会社や地域金融機関なども含まれており、GXへの関心の高まりがうかがえます。講演では、GX経済移行債と、利率や償還年限が同一の通常の国債との比較を通じて、金融市場参加者の受け止め方についても説明がありました。加えて、民間金融機関がGX分野への融資を行いやすくするため、GX推進機構が債務保証などの金融支援を行う枠組みがあることも説明されました。このほか、政府や規制当局が参加者にCO2排出量の枠を割り当て、その枠を超えて排出した場合には、枠内に抑えた主体から余剰分を購入する「排出量取引制度」についても紹介されました。

 講師の天達様には、GXの内容や現状、課題をわかりやすく整理していただきました。産業、地域、暮らしのあり方など、社会の仕組みそのものを変えていく可能性のあるGXの取り組みについて、今後も注目していきたいと思います。

(文責:経済学部准教授  菊池健太郎)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子


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