経済学部・大学院経済学研究科

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講演会「狂言とは」

  • 日 時:2024年11月20日(水)14:30-16:00
  • 表 題:講演会「狂言とは」
  • 発表者:松本 薫 (大蔵流狂言師)
  • 開催場所:滋賀大学彦根キャンパス 14番講義室(校舎棟2F)
  • 開催様式:対面

開催報告

「狂言とは」大蔵流狂言師 松本薫先生

 112014時半から16時、大蔵流狂言師松本薫師による、「狂言とは」の講演が行われました。本講演は真鍋晶子の全学教養科目「言語と文化」の一貫として行われ、彦根キャンパス110名ほど、石山キャンパス6名の教職員に加え、一般参加者も数名見られました。狂言の根幹にある「笑い」について授業冒頭で説明され、さらに舞台・小道具・体の動き・「見立て」と想像力などの狂言の根本に流れるものについての講義が続きました。狂言という日本の伝統芸能を長年演じてきた役者が、これら狂言を構成する大切なことを講義されたうえで、授業の最後には参加者全員で、狂言の「笑い」を実践し、笑いに始まり笑いに終わる楽しい1時間半となりました。理念を理解した上で、自らの体を使って、学んだことを実感する貴重な学びの場となりました。先生が狂言独特の言葉遣い、体の使い方を駆使して講義されるだけでなく、参加者全員が『柿山伏』の「畑主」と「山伏」に分かれて声を出し、狂言を少しだけでも自らの「声」「体」を使って実感することができました。授業の細部は書ききれませんが、たとえば、小道具に関してでは、実際に舞台で使用される異なる扇3種を参加者は身近で見ることができるだけでなく、その違いを講師が参加者を巻き込んで絵ときしていかれました。また、その扇を使った狂言独特の演技を役者が目の前で行いつつ、非常にわかりやすく説明されるので、参加者の理解度があがりました。特に役者の身体性があってこそ、演劇が成立することがひしひしと伝わりました。また、古典芸能には「約束事・きまり」がありますが、それは我々みなが持つ「常識」の範囲で理解できるものであると、参加者に直接質問されることで解き明かして行かれたので、実際の狂言を見たことがない参加者(参加者の9割以上が未経験)の、日本の古典芸能・伝統芸能に対する「垣根」がかなり取り払われたと思われます。

 「言語と文化」の講義では、日本の能狂言がアイルランドの国民詩人・劇作家W.B. イェイツの変貌に大きく関わったことを扱っています。異文化の出逢いは、単に異なる文化を足し算する以上のものを生み出すダイナミズムになることが、松本先生が所属される大蔵流狂言茂山千五郎家のレパートリーで、フランス中世のファルスを飯沢匡が文学座用の劇に書き換えたものを、さらに武智鉄二が狂言化した『濯ぎ川』を紹介されたり、また松本先生がフランスのコメディア・デラルテの役者、中国の京劇の役者と3人で作り上げられた劇について説明されることで、解き明かされていきました。

 生きた学びを得られる貴重な1時間半でした。

(経済学部教授 真鍋晶子)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
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