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先端研究セミナー(20260416)

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  • 講演日時:2026年4月16日(木)15:30-17:00
  • 表題:「Auditing Collusion in Public Procurement: An Empirical Study」
  • 講師:吉本久維 先生(グラスゴー大学アダムスミス・ビジネススクール講師) 
  • 開催様式:対面
  • 開催場所:士魂商才館セミナー室Ⅰ
  • 15:30-17:00 セミナー/17:00-18:00 ワインセッション

講演概要

「道路の下の工事、ちゃんとできているかどうやって確かめる?」――見えにくい場所ほど、品質の確認は難しいものです。本研究は、大阪市水道局で2017年に不適切施工が通報された後に行われた再点検に注目し、完成時の検査と"実際に確かめた"結果を比べられるデータで分析しました。すると、完成時の評価は実態より高く出やすいこと、通報後は品質が改善したこと、ただし改善には一定のコスト(落札価格の上昇)も伴うことが見えてきました。公共工事の「安心」を高めるための現実的なヒントを提示します。


講演報告

 本講演では、公共工事の品質という、これまで価格面に比べて十分に分析されてこなかった論点に焦点が当てられた。

 報告の前半では、公共調達後の品質がどのような要因によって左右されるのかが説明された。とくに、監査者と施工業者がそれぞれ努力水準を選択する枠組みを用いることで、監査の厳格さが施工品質に与える影響が整理された。また、監査者と施工業者のあいだで暗黙の共謀が成立した場合には、チェックが不十分な項目を中心に実質的な品質低下が生じうることが示され、公共部門の監査制度におけるインセンティブ設計の重要性が論じられた。

 報告の後半では、地方自治体発注の水道工事に関するデータを用いた実証分析の結果が紹介された。一般に、手抜き工事は、何らかのきっかけで発覚した事案が散発的に観察されるにとどまることが多いが、本研究は、外部の通報をきっかけに、発注者が特定の群の工事を対象として、手抜き工事の有無を全数調査した事例を用いており、その点できわめてユニークである。通報をきっかけに監視体制が強化されたことで工事品質が有意に改善した一方で、調達価格も上昇したことが示され、品質改善と費用負担のトレードオフがあることが提示された。こうした結果は、低価格のみを重視する調達制度では十分な品質確保が難しい可能性を示すものであり、監査体制の実効性をどのように高めるかという政策的課題を改めて考えさせる結果であった。

 質疑応答では、品質の検査方法、監査者の行動インセンティブ、さらに品質向上と財政負担増加のバランスなど、参加者からの多数の質問に対し丁寧にお答えいただき、活発な議論がなされた。

(文責:経済学部教授 石井利江子)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

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