経済学部 近藤紀章講師・データサイエンス学部 佐藤健一教授らの共著論文が国際学術誌 PLOS ONE に掲載
経済学部 近藤紀章 講師(DS・AIイノベーション研究推進センター配置)と 佐藤健一教授(データサイエンス学部)らによる共同研究の成果が、国際学術誌 『PLOS ONE』 に掲載されました。本研究は河川財団およびJSPS科研費 JP22K05707(基盤研究(C))の助成を受けて実施したものです。
論文情報
Kondo N, Kashio T, Satoh K, Matsumoto K (2026) Does a historical catch record support a stable latent structure in catch composition across ports, taxa, and years? An assessment of cooperative-level catch statistics from Lake Biwa, Japan, 1962-1972. PLoS One 21(10): e0358946.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0358946
研究の概要
本研究は、琵琶湖における1962年から1972年までの漁獲記録を定量的に分析しました。魚や貝、エビなど13区分の漁獲量をもとに、港ごと・年ごとに、どのような魚介類がどの程度の割合で水揚げされていたかに着目しました。こうした漁獲の内訳(漁獲組成)をいくつかの基本的なパターンの組み合わせとして整理する「非負値行列因子分解(NMF)」という統計手法を用いて分析しました。
主な研究成果
①漁獲組成を四つの基本パターンの組み合わせで表したところ、フナ、シジミ、コアユがそれぞれ大きな割合を占める三つのパターンが得られました。これらは、計算の開始条件を変えたり、一部の港や年などを除いて再分析しても、同様のパターンとして確認されました。また、各パターンの現れ方は、元の記録におけるそれぞれの魚介類が占める割合とよく対応していました。
②一方で、複数の魚介類が混在するパターンには、不確かさが残りました。イサザ、スジエビ、モロコ類などが混在する四つ目のパターンは、ほかの三つに比べて安定性が低いことが分かりました。また、記録全体をいくつの基本パターンで表すのが適切かについては、評価方法によって結果が異なりました。繰り返し確認できる主要な特徴はみられたものの、全体をいくつのパターンで整理するのが最も適切かは、一つに定まりませんでした。
③港の地理的な位置関係に着目して分析したところ、一部の魚介類が占める割合や、抽出したパターンの現れ方には、近くにある港どうしで似た傾向がみられました。一方、元の記録と抽出したパターンから再現した値との差には、こうした地理的な傾向は確認されませんでした。
研究の意義
湖や川などで行われる内水面漁業では、魚介類の種類・地域・年ごとの違いを比較できる歴史的な記録が限られています。琵琶湖においても、湖全体の集計だけでは捉えにくい、港ごとの特徴の把握が課題でした。本研究は、1962年から1972年までの11年間に限られますが、44港の特徴を琵琶湖全体の中に位置づけ、当時の漁獲の地域的な特徴を広く捉えた点に意義があります。現在、琵琶湖では漁獲情報のデータ化が進められています。本研究で整理した歴史的な記録と分析結果は、今後、蓄積されるデータと過去を比較する際の参照点となります。
掲載誌の概要
PLOS ONE, Impact Factor 2.8, CiteScore 4.8