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20161124セミナー

第7回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センター開発経済学先端セミナー


リスク研究センターでは、平成28年11月24日(木)、大槻恒裕教授をお迎えして、開発経済学先端研究セミナーを開催いたしました。

  日 時:平成28年11月24日(木)16:00~17:00
  会 場:滋賀大学 彦根キャンパス セミナー室(大)士魂商才館3F
  演 題:『Consumer Safety and Technical Regulation』-消費者の安全と技術規制-』
 講 師:大槻 恒裕 氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科 教授)   

【講演概要】

 食生活が豊かになっていくにつれ、食品の安全性に関する消費者の関心が高まってきている。食品の安全性の確保は消費者の健康を守るために極めて重要である。輸入食品に対する衛生植物検疫(SPS)基準、貿易の技術的障害(TBT)など技術的規制(Technical Regulations)が厳しくなると、食品の安全性は確保できるが、規模の経済の効果は小さくなり、貿易は縮小する。消費者の健康と貿易はトレードオフの関係がある。つまり食品の安全基準を厳しくすると、貿易量は減るようになる。そのため、厳しすぎる衛生植物検疫や技術的障害に対する紛争がWTOに提訴されるケースもある。
 大槻恒裕氏は技術的規制が貿易に与える影響を、グラビティモデルとコンジョイント分析を用いて分析した。食品の安全性に関する規制が変化すると、日本の消費者の需要も変化する。例えば、鳥類インフルエンザ発生は、中国とタイからの鶏肉の輸入を禁止し、ブラジル産や国産鶏肉の需要を増やす。またアメリカ産鶏肉に対する部分的輸入禁止は、アメリカ産の輸入を減少させる一方、タイ産、ブラジル産や国産の鶏肉の需要を増加させる。動物用医薬品残留基準を厳しくすると、中国とアメリカからの輸入は減少し、タイとブラジルからの輸入は増加する。残留農薬基準を厳しくすると、中国とタイからの輸入が減少し、アメリカとブラジルからの輸入が増加する。食品に対する消費者の意識に関する分析においては、日本の消費者は国産の鶏肉を選好する傾向が強い。つまり日本の消費者は、食品の安全性に敏感である。特に放射線安全基準、残留農薬基準や動物用医薬品残留基準に敏感であることが分析の結果から示された。
 同氏は分析の結果を次のようにまとめた。市場レベルでは食品安全性に基づいて需要が変化し、消費者レベルではより安全な食品に対しては高い価格を支払う傾向がある。政策レベルでは食品安全規制は生産者の利益と消費者のリスクを考慮しなければならない。途上国の供給者は、食品の安全確保のための投資を行い、先進国への輸出機会を増やす必要がある。                  (文責 経済学科教授 金 秉基 )

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