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20170317セミナー

第13回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センター社会心理学セミナー


リスク研究センターでは、平成29年3月17日(金)、元吉 忠寛氏をお迎えして、研究セミナーを開催致しました。

  日 時:平成29年3月17日(金)16:00~17:00
  会 場:滋賀大学 彦根キャンパス 545共同研究室(ファイナンス棟5F)
  演 題:『リスク認知と防災行動の曖昧な関係』
 講  師:元吉 忠寛氏(関西大学 社会安全学部・大学院社会安全学研究科 准教授)  



【講演概要】

 東日本大震災において日本人は甚大な複合災害を経験し、日本の「安全神話」は崩壊したと言われることが多い。また、原発事故や放射能汚染の拡散を防ぐことができず、巨大地震を予知できなかったことで、科学技術専門家への信頼も崩壊したと言われることも多い。しかしながら、そうした言説には、実は十分な根拠があるわけではなかったと中谷内氏は指摘する。各種ハザードに対する安全評価(リスク認知)や、リスク管理者に対する信頼は、リスク研究の根幹をなす要素であり、実証的に検討される必要がある。
 中谷内氏の研究では、震災前(2008年)、震災10ヶ月後、そして震災4年後(2015年)にかけて、3回の大規模な全国調査が実施され、各種ハザードへの不安、リスク管理者への信頼の時系列変化が検討された。調査の結果、「安全神話の崩壊」は見られなかった。震災直後の不安上昇は原発・地震に限られ、他のハザード領域では不安の上昇は見られず、むしろ不安が低下していたハザード領域もあった。また、震災から数年間というスパンで見ても、原発以外では不安の上昇が見られなかった。むしろ、震災と共通性のあるハザードを中心に、低下した不安感が慢性化していた。リスク管理者に対する信頼でも類似のパターンが確認され、原発・地震以外の領域では、信頼がむしろ上昇したものもあった。すなわち、「科学技術への信頼総崩れ」は見られなかった。
 ただし、一部領域で不安が低下し、信頼が上昇したことについて、決して手放しで喜べる事態ではないと中谷内氏は警告を発する。合理的な根拠があって不安が低下しているのであればよいが、そうではなくて対比効果やFinite pool of worryのメカニズム(心配の総量が有限であるため、ある領域での心配上昇が、他領域での心配の減少を起こす)で不安低下が起こっているのであれば、それは現実のリスクから乖離しており、望ましい事態ではないと指摘された。
 当日は、様々な専門分野から参加者が集まり、時間を延長して活発な意見交換が行われ、大変充実したセミナーとなった。(文責 社会システム学科准教授 竹村幸祐)

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