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20170209セミナー

第11回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センター国際金融セミナー


リスク研究センターでは、平成29年2月9日(木)、山本周吾氏をお迎えして、国際金融セミナーを開催しました。

  日 時:平成29年2月9日(木)16:00~17:00
  会 場:滋賀大学 彦根キャンパス セミナー室(大)(士魂商才館3F)
  演 題:『Banking Network Multiplier Effects on Cross-Border Bank Inflows-ネットワーク増幅効果とクロスボーダー銀行貸付』
 講  師:山本周吾氏(山口大学経済学部 准教授)

【講演概要】

  国境を超える資本移動が活発になっている。資本移動によって経済活性化が期待できる一方、バブルや通貨危機など金融市場の混乱を引き起こす可能性も排除できない。本セミナーでは、外国銀行からの資本流入と流出による乗数効果と資本移動規制の必要性について研究報告が行われた。  
 先行研究によると外国銀行からの資本流入が増えれば、他国への資本流出も増える傾向がみられる。国際市場における金融リスクが低くなると、期待収益が高くなり、資産価格も上昇する。それによって銀行の貸出と企業の借入は増える。このような現象は、低所得国間より高所得国間に多く見られるが、最近新興国においても資本流入と流出が増加している。資本流入が国内要因、すなわち新興国の経済成長により資金需要が大きくなった場合であれば、当該国の輸出と輸入のギャップ、また投資と貯蓄のギャップという二つのギャップを賄い、経済成長を支える重要な役割を果たす。しかし、国際市場の要因、例えば、FRB金融緩和政策など途上国の経済状態(ファンダメンタルズ)に関係なく資本が流入・流出する場合には、当該国の経済・金融部門に混乱を招く可能性がある。  
 山本氏は、国際資本移動の効果を国際要因と国内要因に分けて分析した先行研究に、国際資本移動の乗数効果(Banking Network Multiplier Effects)を加えて分析している。空間計量モデル(Spatial Lag Model)を用いることで資本移動の乗数効果を捉えている。  
 分析の結果、国際市場における金融リスクが低下して期待収益が上昇し、銀行の貸出が増えるという好循環が続くと、資本移動による乗数効果は約3倍になる。資本移動の要因が国内の経済活性化などの国内要因であれば、当該国の経済成長を大きくするような役割を果たす。しかし、国内の経済状態ではなく国際要因によって新興国に資本が流入・流出すると金融危機を引き起こす可能性がある。この場合は、国際資本移動の規制は正当化されるが、高所得国間における資本移動が非常に大きいため、新興国だけが資本移動を規制してもその効果は限定的である。したがって、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスなど資本移動が多い国々による資本移動の規制が必要であることを明らかにしている。

                           (文責 経済学科教授 金秉基)

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