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20160517セミナー報告

第1回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センター金融先端セミナー兼 計量先端セミナー

リスク研究センターでは、平成28年5月17日(火)、Jianxin Wang博士をお迎えして、セミナーを開催いたしました。

  日 時:平成28年5月17日(火)16:10~17:40
  会 場:滋賀大学彦根キャンパス 545共同研究室(ファイナンス棟5F)
 演 題:『Conditional Volatility Persistence』-条件付ボラティリティの持続性-
 講  師:Jianxin Wang 博士(シドニー工科大学 准教授)
     概 要:米国株式市場における条件付きボラティリティの持続性の実証研究。
具体的には、ボラティリティが市場コンディション( past returns, past volatility,
volume, trades, liquidity, and order imbalance)から受ける影響を時系列モデル で分析した結果、特に過去の負のリターンと過去のボラティリティの影響が強い事を明らかにした。
このモデルを用いた結果、従来のモデルと比較してボラティリティ予測が損失関数で40-60%改善された。

講演概要

講師紹介

 Jianxin Wang氏は、中国の清華大学を卒業後、Northwestern UniversityでPh.Dを取得し、米国で民間銀行に勤めた後に、オーストラリアの大学で20年近く教鞭を取る。現在は、University of Technology, Sydney (シドニー工科大学)のassociate professor(准教授)。Wang氏の代表的な研究論文は、Journal of Economic Dynamics and ControlやJournal of Financial MarketsやJournal of Banking & FinanceやJournal of Development Economicsに掲載。

論文内容

 これまでの先行研究が、例えば2005年から2015年までのNY証券取引所のDow Jones指数のボラティリティが、前述のGARCHモデルの「(例えば)0.9」という一定の関係があり、それを推定することを目的としていた。Wang氏は、この「0.9」を「ボラティリティの持続性(volatility persistence)」と呼び、それが「時間とともに変化する」のではないか、ということに着目した。それは、例えば2015年5月10日には「ボラティリティの持続性」が「0.9」であったけど、翌日の5月11日には「0.95」に変化している可能性を探ることを意味している。  Wang氏は、2002年から2014年までの米国市場の(1)S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500指数のETF(上場投資信託)、(2)S&P600小型株指数のETF、(3)大型株の個別銘柄のデータを用いた分析を行った。具体的には、一日ごとの「ボラティリティの持続性」をACRVと呼び、5分毎の一日78個のデータを用いてACRVの推計を行った。すると、ACRVは一定ではなく、毎日変化しているものであることが確認された。 図1: 前日のボラティリティと ACRVの関係、(S&P500指数)
 次にWang氏は、この「ボラティリティの持続性」の変化を上手く説明できるものはないかと探すことにした。すると以下の要因が見つかった。(1)前日のリターンが(プラスでもマイナスでも、すなわち絶対値で)大きいと、「ボラティリティの持続性」が大きくなる。特に前日のリターンがマイナスの場合には、より大きな影響が出る。(2)前日のボラティリティが非常に小さかったり、非常に大きいと「ボラティリティの持続性」は大きくなる一方、中間程度であるときに「ボラティリティの持続性」は一番小さくなる(図1参照)。  また、以上の結果は、ACRVを用いた分析でも、別の方法(実現したボラティリティを用いた多元自己回帰モデル)による分析でも、確認することが出来た。また、Wang氏が提唱した方法を用いると、将来のボラティリティを予測するのに精度が高まることが示された。当日は、12名の参加者があり、活発なディスカッションが展開され、非常に有益なセミナーであった。(注:図1はWang氏の発表スライドから転載)

(文責:リスク研究センター長 ファイナンス学科教授 吉田裕司)


図1: 前日のボラティリティとACRVの関係、(S&P500指数) zu

JianxinWang博士 セミナー風景
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セ ミ ナ ー 風 景

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