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20160721セミナー報告

第3回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センターミクロ経済学セミナー


リスク研究センターでは、平成28年7月21日(木)、中島賢太郎氏をお迎えして、セミナーを開催いたしました。

  日 時:平成28年7月21日(木)14:00~15:00
  会 場:滋賀大学彦根キャンパス セミナー室(大)(士魂商才館3F)
  演 題:『Identifying Neighborhood Spillover Effects among Firms:
Evidence from the Location Lotteries of the Tokyo Tsukiji Fish Market (with Kensuke Teshima)』
-企業の近隣波及効果の識別:東京築地魚市場の売り場割り当てからのエビデンス-
 講 師:中島 賢太郎氏(東北大学大学院 経済学研究科 准教授)     


講演概要

 企業集積が形成される要因を探るのは、都市経済学の大きな研究テーマである。その要因の一つとして挙げられるのが、企業間の生産性の波及である。  生産性の波及効果の計測は、一般に容易ではない。なぜならば、企業は自分で立地を選択するので、ある場所に業績の良い企業が集まっていたとしても、それが企業間の波及効果によるものなのか、立地条件が良いせいなのか特定できないためである。  中島氏らの研究は、企業の立地がランダムに決まるという世界的にも特殊な状況を用いて、波及効果の大きさを計測するという画期的なアイデアに基づくものである。  中島氏らの着目した築地市場では、仲卸業者の店舗の配置が数年に一度、くじで決まる。店舗の場所がくじによってランダムに決まるのであれば、前述の問題が回避され、店舗間の生産性の波及効果がシンプルな手法で計測できる。  このようなデータを用いて分析を行った結果、ある仲卸業者の近くに大手の業者が立地したり、また、多様な専門業者が立地したりすると、その業者に正の効果(店舗数の拡大など)が現れることが明らかになった。  中島氏らのインタビューや調査によると、仲卸業者は近隣との関係を重視し、すぐれたノウハウを教えあったりまねし合ったりする。そのようなやりとりを通した生産性の波及効果が、データにも現れている。  同氏らは、今後商業統計を入手することによって、各業者の売り上げなどさらに詳細なデータを盛り込んだ分析を試みることを計画しており、いっそう刺激的な研究となることが見込まれる。  当日は活発な意見交換が行われ、大変充実したセミナーとなった。
(文責:経済学科准教授 石井利江子)

中島 賢太郎氏 セミナー風景


セミナー風景2 poster


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