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20160609セミナー報告

第2回リスク研究センター主催セミナー
リスク研究センターマクロ先端研究セミナー兼 金融先端セミナー


  リスク研究センターでは、平成28年6月9日(木)、藤原一平氏をお迎えして、第2回リスク研究センター主催セミナーを開催
  いたしました。

  日 時:平成28年6月9日(木)16:00~17:00
  会 場:滋賀大学彦根キャンパス 545共同研究室(ファイナンス棟5F)
■ 会場案内図
 演 題:『Declining Trends in the Real Interest Rate and Inflation : Role of aging』
-実質金利とインフレ率の趨勢的な低下:高齢化の視点から-co-authored with Shigeru Fujita  講 師: 藤原 一平氏(慶応義塾大学 経済学部 経済学科教授)   

講演概要

講師紹介

藤原一平氏は、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、日本銀行に入行。大阪大学で応用経済学博士、Oxford UniversityでPh.D(Economics)を取得された。その後、The Australian National Universityで教鞭をとったのち、現在は慶應義塾大学経済学部教授。藤原氏の論文は、Journal of Monetary Economics、Journal of Money, Credit and Banking、Journal of Economic Dynamics and Control、IMF Staff Papersなどの国際的一流誌に多数掲載されている。

論文紹介

藤原氏の研究の背景には、日本経済のこれまでの経験的事実がある。戦後、日本では出生率の急激な低下が観察された。それは、当然の帰結として、その約20年後の労働市場の新規参入者の急減、そしてその後の労働市場における平均年齢の高齢化の原因となった。日本経済はその後、高度成長、バブル経済の発生と崩壊、そして現在まで続く長期停滞を経験することになる。特に、長期停滞の最中、一人あたりの消費、実質利子率、物価などのいくつかの重要なマクロ変数に、傾向的低下が見受けられる。これら事実(ファクト)の間の因果関係を説明する理論体系を構築することは、日本の経済学者の重要な課題であった。 藤原氏の論文では、シンプルなサーチ・マッチングモデルを用いて、上述の問題に取り組んでいる。価格の粘着性を伴うニューケインジアン・タイプのモデルに、労働者の異質性(heterogeneity)と企業特殊的(firm specific)なスキルを組み込んでいる点が特徴的である。労働者の異質性は、労働者の年齢と熟練度で表現されている。個々の労働者は、最初は新卒としてスキルのない状態で労働市場に加わる。その後、年齢とともに仕事に精通し熟練する。年を取ってから確率的に職を失うことがありその場合はスキルを失うこともあるが、平均すると年齢とともに生産性を高めることになる。職場の平均年齢の高齢化とともに、一人あたりの消費水準や実質利子率などは上昇していくことになる。反面、その効果は永続せず、やがてそれらの変数は伸び悩むことになる。カリブレーション(calibration)が示すところによれば、本論文のメカニズムは、これらの変数の趨勢の約40%をうまく説明するそうである。

今後の研究について

藤原氏の研究では、人口動態の労働市場を通じたマクロ的なインパクトに焦点が置かれていた。いわゆる団塊の世代の高齢化が職場の平均的な生産性の変動を通じて経済全体にある種のうねりを生み出すのである。 現在、その世代の多くが職場を去りつつある。今後予想される日本経済の課題は、経済に大きなインパクトを持つこの世代が後期高齢者となっていく過程で必要となる医療費や社会保障費の問題ではないだろうか。財政が逼迫し、職場全体での生産性も伸び悩む中で、日本経済をどうやって成長軌道に乗せ、それらの財源を確保するのかは、日本の経済学者に突き付けられた今後の大きな課題と思われる。

セミナー後記

セミナーの後は、関係者数名とともに藤原氏を囲んで食事に出かけた。美しい琵琶湖の夕日を眺めながら到着した先は、リスク研究センターY氏おすすめの鮎の料理屋であった。そこではセミナー中にはなかなか聞けない研究の裏話から、オーストラリアでの生活についてまで、実に貴重な話を伺った。藤原氏には彦根の街も、そして鮎料理も、いたく気に入っていただいたようだった。 このように研究を通じて、学術研究の発展という共通の目的を持った人の間で交流が広がる点が、研究活動の大きな魅力であろう。今後もリスク研究センターの活動を通じて、研究とともに人の輪が広がり、結果として関係者全員の研究の質が高まっていくように努めていきたい。
                          (文責:ファイナンス学科准教授 近藤豊将(あつまさ))

藤原一平氏 セミナー風景

セミナー風景2 poster


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