日時:2023年10月6日(金) 13:00~14:20
会場:総合研究棟〈士魂商才館〉3階セミナー室Ⅰ
論題:「他者を生きる~読書を通してあなたもわたしも<100万回生きたねこ>になる~」
報告者:メリンダ・スミス(詩人)×藤井一乃 (思潮社編集者・元『現代詩手帖』編集長)×深堀瑞穂(舞台写真家)×菊地利奈(本学教授)
開催様式:対 面
講演言語:使用言語は日本語と英語。通訳は有りません。
講演報告
本ワークショップでは、オーストラリアの首都キャンベラ在住の詩人・メリンダ・スミスさん、思潮社編集者・元『現代詩手帖』編集長の藤井一乃さん、ステージ写真家で谷川俊太郎さんなど、多くの詩人の撮影をされている深堀瑞穂さんをお招きし、詩にかかわる人生を選択した4名が、詩を読むこと・詩を書くことについて語りました。
人生は一度、自分はひとり。「もしあのとき別の選択をしていたら・・・」と想像することはできても、そのときに別の選択をした自分の人生を(今の自分の人生を維持しながら)生きることはできません。佐野洋子さんのロングセラー絵本『100万回生きたねこ』のねこのように、100万回別の人生を生きることは決してできず、人間が自分の人生で実際に体験できることは限られています。でも、だからといって、「体験したことがないからわからない」「自分にはそんなことは起きないから無関係だ」と言って、たとえばホームレスの方、セクハラ被害者、戦地にある人々、闘病中の友人などの気持ちを理解できずに当然、と開き直って、切り捨てて考えていいのでしょうか。
メリンダ・スミスさんの詩篇「Contemplating the Gap(崖っ縁に向きあって)」(対訳アンソロジー『pleasant troubles ―喜ビ苦シミ翻ル詩』Recent Work Press, 2018, ed & tr Rina Kikuchi with Harumi Kawaguchi)と「New Undergraduates Tour the Psychology Clinic(心理学科新入生のためのカウンセリングルームツアー)」(『現代詩手帖』2019年3月号)を読み、本(詩)を読むことで他者の人生を追体験することと人間が共生することの関係について、考えました。
オーストラリアから来日し講演してくださったメリンダ・スミスさん、藤井一乃さん、深堀瑞穂さん、そして、出席してくださった外部からのお客様と学生と教員のみなさん、会の開催準備をしてくださった研究所のスタッフのみなさん、ほんとうにありがとうございました。
(文責:経済学部教授 菊地利奈)
*メリンダ・スミスさんの来日には、滋賀大学研究推進関連助成 (共同研究プロジェクト助成事業)、及びACT Government の助成を受けています。国際共同研究への理解と支援に、心より御礼申し上げます。
*出席者:47名。
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