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未来社会研究プロジェクト「データ・サイエンスの経営活用」第1回

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  第1回講演会

  • 日時:2021年11月26日(金)14:30~16:00 

  • 演題:教育機関でのデータ活用(退学者対策を中心に)

  • 講演者:喜田昌樹 先生(本学経済学部企業経営学科 教授)

  • 開催様式:対面とオンラインの併催(開催場所:セミナー室Ⅰ(士魂商才館3F))

  • 参加対象:教員及び院生


講演概要

 最近、企業のデータ活用(データサイエンス)に注目が集まっている。そこで、本報告では、ビジネス以外、つまり非営利組織でのデータ活用の可能性を探る。

 具体的には、大学IRでも議論され始めている大学経営での退学者対策を事例に取り上げる。データマイニングを研究してきた私に、前職の大学から、データマイニングを用いた退学者予測と、退学者の面談記録のテキストマイニングの実施依頼があった。

 このプロジェクトでは、日常業務で利用している基幹系システムから、分析用のデータを作成する。データには、学籍番号順に退学・卒業を変数化したうえで、基幹系システムでの変数で構成されている。それをニューラルネットワーク等の機械学習の手法を用いて予測モデルを作る。そこでは、入試関連(高校設置区分、入試区分、評定平均等)とカリキュラム関連があることが分かった。前者は入試制度改革に、後者はカリキュラム改革につながった。次に面談記録を対象にしたテキストマイニングを用い深い理解を目指した。そこでは、12年次退学では「専門学校」等の進路変更が中心であり、34年次退学では「卒業の目途」等の卒業の可能性が中心であることが分かった。これから初年次ではキャリア意識が低いという結論を導き、初年次教育を行っている。退学者数も徐々に減少したので、ある程度の効果があったと考えられる。

 そして、データ活用の課題をCrisp-dm(データ活用の台本)を再考するということで検討した。それは次の4点である。1)大学経営での退学者問題というように経営課題を明確にすることである。その上で、経営課題を確定化し、データマイニングの機能で解決できるようにブレークダウンすることの重要性を示唆した。2)分析用データ作成の問題である。これには、基幹系システムが稼働しており、データがビジネスを反映していること、データマネジメント(データの質の管理及びデータを扱う人の管理)が実施されている必要があることを示唆した。3)適切なアルゴリズムを選択することであり、各アルゴリズムと経営課題との関係を理解する必要がある。4)結論に対して経営成果に直結する施策・行動計画を立案することが課題となる。データ分析に対する協力者の発見などが重要であることを示唆した。

 そして、重要なのがこれらは一つの流れ(フレーム)を持つことであり、それが最終的に自動化を促進することを指摘した。

文責:企業経営学科 教授 喜田昌樹

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