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TOP経済経営研究所(ebrisk)■未来社会研究未来パラダイム班 ≫ 未来社会研究プロジェクト「ポストコロナの経済社会と人文社会科学」第2回セミナー(20210127)

未来社会研究プロジェクト「ポストコロナの経済社会と人文社会科学」第2回セミナー(20210127)

  • 日時:2021年1月27日(水)14:30~16:00Sakaiphoto.png

  • 演題:「不確実性とケインズ:新世紀にどう生かせるか」

  • 開催場所:オンライン開催

  • 講演者:酒井 泰弘(滋賀大学名誉教授、筑波大学名誉教授)


■ご経歴

 1940年生まれ。筑波大学名誉教授、滋賀大学名誉教授。経済学博士(ロチェスター大学) 専門分野は理論経済学、リスク研究。ピッツバーグ大学経済学部助教授、広島大学政経学部助教授、筑波大学社会科学系教授等を経て、2002年より滋賀大学経済学部教授。退官後も同大学や龍谷大学で教鞭を執る。 学外においては、日本リスク研究学会会長、日本地域学会会長、生活経済学会会長、ニューヨーク大学日米経営経済研究センター研究理事、日本学術会議会員等を歴任。『不確実性の経済学』有斐閣(1982)、『寡占と情報の理論』東洋経済新報社(1990)、『リスクと情報:新しい経済学』勁草書房(1991)、『リスク学事典』共編著 TBSブリタニカ(2000)、『リスク社会を見る目』岩波書店 (2006)、『ケインズ対フランク・ナイト』ミネルヴァ(2015)、Keynes Versus Knight Springer 2019年、Information and Distribution Springer (2021)など著書多数。


■講演概要

 確率論の研究に向かう動機は神の存在の曖昧さや時代の不透明性などにあるようだが、わが国の「不確実性の経済学」の泰斗も同様、戦時の大空襲の経験、明日の命の不確かさが動機にあるという。

 アニマルスピリッツ旺盛な、尽きることのない探究心をお持ちの酒井先生は今なお、ケインズとナイトを比較検討した著作や、ケインズ確率論に関する論文を執筆しておられる。セミナーの中心はその研究成果のご報告であった。ケインズの蓋然性を区間確率の比較というかたちで解釈し、「ケインズ曼荼羅」の謎を解明したこと、またそれらの知見も絡めてアニマルスピリットを再説された。

 最後に、こうした研究に没頭するなかで、わが国の将来を想う先生から、故森嶋通夫氏の晩年の問題意識が紹介され、若者のアニマルスピリッツに期待する旨のご説教を頂いた。ご講演のあとは、アニマルスピリッツが資本主義の原動力でもあり不安定性の原因でもあるという点について議論があった。     

 またそこから、わが国では全体が個を規制する側面が強いこと、オックスフォード大学で歴史を深く学んだ官僚と日本の官僚の性質の違いなども指摘された。さらに、近江商人のことを英語や数学で情報発信するという話も飛び出した。ある意味で不確実性に満ちた―森嶋流の総合性の継承?―、先生らしいセミナーであった。

(経済経営研究所 所長 吉川英治)

講演会の様子
講演会の様子

本講演に関するご質問は

滋賀大学経済経営研究所
TEL : 0749-27-1047
FAX : 0749-27-1397

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