森宏一郎教授と佐野洋史教授の共著論文が査読付国際学術誌Journal of Obstetrics and Gynaecology Researchに掲載
経済学部の森宏一郎教授と佐野洋史教授 の共著論文がJournal of Obstetrics and Gynaecology Researchに掲載されました。日本産科婦人科学会と協働して調査したものです。
なお、本論文の共著者の一人である清水麻生(まお)さん(日医総研,研究員・滋賀大学経済学部 森研究室,協力研究員)は、本学経済学部(森ゼミ)の卒業生です。
論文の概要
産婦人科医の慢性的な不足は日本が取り組むべき深刻な問題である。この問題を解決するためには、医学生が産婦人科医として働くことに興味を持ち、より多くの初期研修医が産婦人科を専門とすることが必要である。本研究では、勤務条件に関する希望を明らかにし、どのような情報を提供し、どのような条件を変更すべきかを検討することを目的とする。日本産科婦人科学会サマースクール2023の参加者を対象にアンケート調査を行った。回答者は産婦人科に興味のある医学生と初期研修医である。サマースクールに貢献した産婦人科専門医にも、比較のために同じ質問をした。その結果、重要な労働条件、将来の仕事に対する懸念、将来期待される労働条件に焦点を当てたデータが得られた。医学生132人(97.8%、N=135)、初期研修医122人(99.2%、N=123)、専門医76人(95.0%、N=80)から回答を得た。主な知見は3つあった。第一に、医学生・初期研修医と専門医の間には、労働条件の選好において大きなギャップが見られた。第二に、医学生・初期研修医の男女差は無視できないが、専門医ではその差は比較的小さかった。第三に、医学生・初期研修医は専門医よりも医療過誤に関するリスクをより懸念していた。医学生・初期研修医と専門医との間の労働条件に関する希望や認識のギャップは、十分な情報提供によって縮められるべきである。労働条件については、女性を中心に考えるのではなく、性別にとらわれないユニバーサルなものを志向すべきである。