日 時:2025年1月21日(火)16:10-17:40
表 題:講演会「少数言語でみられる新語・借用語を考える -ソルブ語のケース-」(仮題)
発表者:笹原 健(成城大学非常勤講師)
場 所:滋賀大学彦根キャンパス セミナー室Ⅱ(士魂商才館3F)
開催様式:対面
講演報告
滋賀大には講演会で何度かお越しいただいている笹原健先生(成城大非常勤講師)に,今回もドイツで話されている少数言語であるソルブ語を中心とした講演会を実施した.今回はソルブ語の中にある主としてドイツ語からの借用語,そしてコロナ禍で生まれたソルブ語の独自表現(新語)の例を中心に講演がなされた.
ソルブ語は,ドイツの南東部ドレスデンの近くで話されている言語であり,話者数は1万と少数しかない.系統的には,ドイツ語などのゲルマン語派ではなく,スラブ語派に属すため,文法的振る舞いは隣接するチェコ語やポーランド語に近い.しかしながら,ドイツ語との長年にわたる言語接触のため,現在のソルブ語話者はドイツ語とのバイリンガルであり,ソルブ語の文法自体もドイツ語の影響を受けている.
欧州では,"L3"という外国語習得が奨励されている.L1は母語(ドイツ人だとドイツ語),L2は英語(欧州内では今や英語が共通言語となっている),それに加えてL3(フランス語やイタリア語など,欧州内言語でも良いし,日本語など欧州外の言語でも良い)というように,欧州内外での学習や仕事(就職)のために,3つの言語を自由に使いこなすよう,奨励しているわけである.日本で例えると,日本語母語話者の場合,L2が基本的に英語になるとすると,L3は第2外国語にあたり,ドイツ語や中国語,韓国語などになるだろう.
現在のドイツでは,ソルブ語やトルコ語,東欧におけるロマ語,難民の言語(アラビア語やソマリ語など),少数民族の言語や移民,難民の言語への政策も各種なされている.ソルブ語自体も保護され,維持される対象となっているが,それでもなお,ソルブ語からの新語やドイツ語の借用語の例を最近のコロナ関係の語彙を含めて紹介され,ソルブ語の言語としての活力の一例を示された.
(経済学部教授 野瀬昌彦)


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