森宏一郎教授の共著論文が査読付国際学術誌Sustainable Developmentに掲載
経済学部の森宏一郎教授 の共著論文がSustainable Developmentに掲載されました。
Sustainable Developmentは、インパクトファクターが9.9で、Q1(96.3%)に位置する一流誌です。
なお、本論文の筆頭著者の京井尋佑さん(山形大学人文社会科学部,講師)は、本学経済学部(森ゼミ)の卒業生です。
論文の概要
ブラジル、中国、ドイツ、日本、インド、米国では、環境配慮行動は十分に普及していないようである。そこで次の二つの問いに答える。6カ国におけるカーボンフットプリントの現在の分布と社会的ネットワークにおける学習パターン(デグルート学習、ベストプラクティス、フリーライド)に基づき、各国の環境配慮行動の普及はどうなるのか? どのような政策措置が最も効果的なのだろうか?
本研究の目的は、6カ国の動的社会ネットワークモデルにおいて、環境配慮行動の伝播をシミュレーションし、様々な政策手段の有効性を検証することである。環境配慮行動の分布は、グローバルなグリッド化されたカーボンフットプリントデータによって生成される。社会的ネットワークにおける学習パターンの分布は、 World Values Surveyのデータを用いて各国で推定した。本研究では、次の3つの政策を評価する。環境配慮行動のベストプラクティスを追求する人々の数を増やすこと(ベストプラクティス促進、[BPP])、フリーライダーの数を減らすこと(フリーライド削減、[FRR])、そして中心性の高い人々の学習パターンをベストプラクティスに変換すること(中心性に基づくベストプラクティス促進、[CBPP])である。興味深い発見は3つある。第一に、6カ国において、個人の環境配慮行動の度合いと学習パターンの割合に大きな違いがあること。第二に、FRRとBPPは環境配慮行動を促進するのに有効であるが、FRRとBPPの選択はフリーライダーの初期比率に依存する。第三に、CBPPはすべての国で3つの政策の中で最も効果的である。介入を実施する際には、社会的ネットワークにおける中心性を考慮する必要がある。