経済学部の森宏一郎教授が発表した論文の被引用件数が1,000を超えました
Mori, K. and Christodoulou, A. (2012). Review of Sustainability Indices and Indicators: Towards A New City Sustainability Index (CSI). Environmental Impact Assessment Review, 32(1), 94-106.
本論文の被引用件数が1,000(Google Scholar調べ)を超えました。
被引用件数とは、論文が他の論文に引用された数です。この数字が大きくなると、それだけ他の研究に影響を与えていることになります。被引用件数が1,000を超えると、影響力の大きい一流論文 "Seminal Paper" と言われています。被引用件数が1,000を超えたことは、本論文が類似の研究課題を抱える他の研究群に大きなインパクトを与えているということになります。
【論文の背景と概要】
当初、森教授は都市の持続可能性を測りたいと考えていましたが、都市の持続可能性を測るための指標はほとんどなく、あっても都市の特性を十分に考慮したものは皆無でした。そこで、森教授は英国ヨーク大学留学時代のギリシャ人の友人クリストドウロウ博士に声をかけて、持続可能性に関係する既存指標を再検討すると同時に、都市域だけを対象に持続可能性を捉えるために必要な指標の条件を考え出すことにしました。その結果、本論文で森教授らは4つの重要な要件を導きました。(1) 強い持続可能性 (Strong Sustainability) の観点から、環境・経済・社会的側面(持続可能性のトリプル・ボトムライン)を独立的に考慮すること。(2) 特に環境的側面において、都市の外部への影響(漏出効果)を都市の持続可能性の評価に入れること。(3) 都市の特性を考慮した都市に特化した持続可能性の評価指標を作成すること。(4) 共通の評価軸を用いて先進国・途上国を問わず世界の都市を所得水準の高さなどのバイアスなしに評価できること。これらの要件の検討の結果、都市の経済的貢献度だけでなく、都市が自然環境や人間社会に与えるグローバルな影響を把握するためには、都市の持続可能性を評価・比較できる新たな都市の持続可能性指標を構築する必要があると結論付けました。これらの指標開発の指針が他の多くの類似研究に注目されてきました。