【報告】彦根ゴーストツアー「『古事記』の章」を開催しました。
2012年6月2日(土)3日(日)「彦根ゴーストツアー:『古事記』の章」が滋賀大学経済学部および彦根市の協力で挙行されました。
これは2011年9月20日経済学部で行われた、島根県立大学教授・小泉八雲記念館顧問小泉凡先生による講演
「城下町で文化資源を生かす!:松江ゴーストツアーと造形美術展の取組から」
の内容に触発され滋賀大学経済学部、彦根市産業部観光振興課、彦根市民が協力して企画、「びわ湖・近江路観光圏」の補助金を得て、成立したツアーの第三弾です。企画の核となるべく
「空(くう)の旅人舎」
(経済学部真鍋晶子代表)を、滋賀大学教職員、湖東湖北の文化資源を発掘されている北風冩真舘代表杉原正樹氏などの市民で立ち上げ、
私たちは五感を最大限に用い、想像力と創造力を駆使して、土地のもつ文化・歴史的資源から得ることのできる「見えないモノ」を「ゴースト」と位置づけ、
それらを感じ取り、未評価の文化を紡ごうとしてきています。今回は今年で編纂1300年となる『古事記』を軸に、巡ることにしました。
彦根市、東近江市、多賀町の方々の協力により、ツアーには15名ほどの参加者を得ました。
2日(土)午前彦根駅集合。バスに乗って、豊かに満ちる水田に青々と育つ稲、落ち着いた夏色の緑の木々に心も洗われながら、愛知川を上り、 永源寺の奥、滋賀県と三重県の県境近い山のなかの君ヶ畑へ。ここは木地師の祖、惟喬親王の幽棲地なのですが、現代の木地師の小椋昭二さんの案内で、 大皇器地祖神社にまず足を運びました。ゴーストツアー企画を始めた昨年、秋深い静けさのなか、空の旅人舎の三人(杉原さん、経済経営研究所江竜美子さんと私)で訪れ、 神聖な空気を感じた原点のようなところです。巨大な杉に守られた神社で聖なる空気を吸った後、人々が茶摘みをする穏やかな日常のなかを歩いて、 小椋さんの手作りの工房、お宅などをめぐりました。その後、日登美山荘で、渓谷ならではの昼食をとった後、淡海妖怪学波代表 杉原正樹氏による「波兎考」の講演を聞きました。
大皇器地祖神社の灯籠に、波と兎の文様を経験した参加者は、杉原さんによる、大国主命と深い関わりのある波兎のお話を実感することができ、 滋賀に多く存在するこの文様についての講演を聞くことで、『古事記』の世界に導いて行かれました。その後、彦根市内にバスで戻り、天宇受売命が主祭神、 猿田彦が脇祭神というまさに『古事記』の世界に根付いた千代神社を訪問、布施博章宮司のお話を聞きながら、特別に本殿や拝殿を近くで勉強させていただきました。 建物や神社の言われについての宮司の説明により、記紀の世界がますます生き生きとしてきました。さらに、夕刻、花しょうぶ通り「魚浩」に移動。 NPO法人芹川、また、彦根昔ばなしを語る会で活躍されている川崎敦子氏による、二丈坊の語りを、蝋燭の光のなかで体験しました。川崎さんは小中学生に語りを体験してもらうことで、 五感と想像力を生かした経験をする場を提供されています。川崎さんの語りによって私たちは異空間に誘われていきました。ここでも、杉原さんによる二丈坊の解説が行われました。 その後、魚浩主人長田氏が『古事記』の時代の料理を研究の結果、『古事記』にまつわるメニューを考案、提供して下さった夕食を、長田さんの説明を聞きながら味わいました。
3日(日)は朝7時から多賀大社の本殿奥の儀式殿において、日供(にっく)祭を体験、その後、稲毛友幸禰宜により、 伊邪那岐、伊邪那美の鎮座するこの大社で『古事記』の神々について学びました。稲毛さんは記紀の神々が現代の我々に如何に意義があるかという独自の視点を展開されました。 講演のあと、通常入れない奥書院や庭園を見学、さらに、当日行われる神田で行われるお田植祭の準備をされている社内を個々に散策、それぞれが記紀の世界に思いをはせました。 その後、多賀大社の所有する曼荼羅にも描かれている大瀧神社へと移動しました。日本武尊の一の王子稲依別王を祭るこの神社で、神主鳥居俊宏氏のお話をうかがいました。 大瀧神社は犬上川の上流、川の水と木々が実に見事な美しさを見せる土地にあるのですが、この犬上川の名前の由来にもなったとも言われる、猟犬小石丸の話もうかがい、 大瀧神社とともに守られている犬上神社についてのお話もうかがいました。また、杉原さんにより、妖怪カワコボチの話もうかがいました。
景勝「大蛇ヶ淵」の散策、また、鳥居さんのご厚意により、本来は入れない拝殿、本殿にも足を踏み入れされていただきました。 その後、バスで移動、昨晩話を聞いた二丈坊の巨大な彫刻見た後、NPO法人彦根景観フォーラム所有の江戸時代の庄屋の家、一圓屋敷(多賀里の駅)で、 多賀クラブの方々が、地元の食材を工夫して作って下さった昼食を楽しみました。 その後、一圓屋敷において、小泉凡先生が「ラフカディオ・ハーンと『古事記』」と題して講演され、『古事記』を深く読み込んでいたラフカディオ・ハーン(小泉八雲) における『古事記』の重要性、さらには、ハーンのルーツであるアイルランド(ケルト)とギリシャの神話との比較対照により、日本の神話が彼のなかで昇華されて行くさま、 さらには、松江を愛したハーンが片道8時間かけて3度赴いた出雲大社において千家宮司との出会いで、『古事記』の世界が深めて行ったことを、 小泉先生自身がハーンの足跡を訪れて人々と語り追求、また撮影された写真をも提示され、先生の研究の成果を見事に展開して下さいました。
彦根駅で夕刻、解散しましたが、一圓屋敷から彦根駅への途中で、多賀大社のお田植祭も見学することができ、田植歌、踊り、田植えをする早乙女たちの姿にすがすがしい思いになりました。
今回も2日間かなりハードスケジュールでしたが、五感をもちいて想像力・創造力を研ぎすますと、何が生まれて来るかを実感し、自然と文化、そのなかにおける人間の役割や位置について深く考察することのできる2日間は、滋賀大学関係者、彦根市民、さらには他府県からの参加者も含めて意見交換を行いつつ学ぶことのできる、生きた学びの場となりました。毎回、ご協力頂いている、「魚浩」の長田さんと2人のお姉様とお兄様、多賀クラブの皆様、また、今回新しく協力して下さった皆さんの特別なお心づくしのおかげで、ますます、ゆたかなツアーになってきていること、心から感謝しております。
2日(土)午前彦根駅集合。バスに乗って、豊かに満ちる水田に青々と育つ稲、落ち着いた夏色の緑の木々に心も洗われながら、愛知川を上り、 永源寺の奥、滋賀県と三重県の県境近い山のなかの君ヶ畑へ。ここは木地師の祖、惟喬親王の幽棲地なのですが、現代の木地師の小椋昭二さんの案内で、 大皇器地祖神社にまず足を運びました。ゴーストツアー企画を始めた昨年、秋深い静けさのなか、空の旅人舎の三人(杉原さん、経済経営研究所江竜美子さんと私)で訪れ、 神聖な空気を感じた原点のようなところです。巨大な杉に守られた神社で聖なる空気を吸った後、人々が茶摘みをする穏やかな日常のなかを歩いて、 小椋さんの手作りの工房、お宅などをめぐりました。その後、日登美山荘で、渓谷ならではの昼食をとった後、淡海妖怪学波代表 杉原正樹氏による「波兎考」の講演を聞きました。
大皇器地祖神社の灯籠に、波と兎の文様を経験した参加者は、杉原さんによる、大国主命と深い関わりのある波兎のお話を実感することができ、 滋賀に多く存在するこの文様についての講演を聞くことで、『古事記』の世界に導いて行かれました。その後、彦根市内にバスで戻り、天宇受売命が主祭神、 猿田彦が脇祭神というまさに『古事記』の世界に根付いた千代神社を訪問、布施博章宮司のお話を聞きながら、特別に本殿や拝殿を近くで勉強させていただきました。 建物や神社の言われについての宮司の説明により、記紀の世界がますます生き生きとしてきました。さらに、夕刻、花しょうぶ通り「魚浩」に移動。 NPO法人芹川、また、彦根昔ばなしを語る会で活躍されている川崎敦子氏による、二丈坊の語りを、蝋燭の光のなかで体験しました。川崎さんは小中学生に語りを体験してもらうことで、 五感と想像力を生かした経験をする場を提供されています。川崎さんの語りによって私たちは異空間に誘われていきました。ここでも、杉原さんによる二丈坊の解説が行われました。 その後、魚浩主人長田氏が『古事記』の時代の料理を研究の結果、『古事記』にまつわるメニューを考案、提供して下さった夕食を、長田さんの説明を聞きながら味わいました。
3日(日)は朝7時から多賀大社の本殿奥の儀式殿において、日供(にっく)祭を体験、その後、稲毛友幸禰宜により、 伊邪那岐、伊邪那美の鎮座するこの大社で『古事記』の神々について学びました。稲毛さんは記紀の神々が現代の我々に如何に意義があるかという独自の視点を展開されました。 講演のあと、通常入れない奥書院や庭園を見学、さらに、当日行われる神田で行われるお田植祭の準備をされている社内を個々に散策、それぞれが記紀の世界に思いをはせました。 その後、多賀大社の所有する曼荼羅にも描かれている大瀧神社へと移動しました。日本武尊の一の王子稲依別王を祭るこの神社で、神主鳥居俊宏氏のお話をうかがいました。 大瀧神社は犬上川の上流、川の水と木々が実に見事な美しさを見せる土地にあるのですが、この犬上川の名前の由来にもなったとも言われる、猟犬小石丸の話もうかがい、 大瀧神社とともに守られている犬上神社についてのお話もうかがいました。また、杉原さんにより、妖怪カワコボチの話もうかがいました。
景勝「大蛇ヶ淵」の散策、また、鳥居さんのご厚意により、本来は入れない拝殿、本殿にも足を踏み入れされていただきました。 その後、バスで移動、昨晩話を聞いた二丈坊の巨大な彫刻見た後、NPO法人彦根景観フォーラム所有の江戸時代の庄屋の家、一圓屋敷(多賀里の駅)で、 多賀クラブの方々が、地元の食材を工夫して作って下さった昼食を楽しみました。 その後、一圓屋敷において、小泉凡先生が「ラフカディオ・ハーンと『古事記』」と題して講演され、『古事記』を深く読み込んでいたラフカディオ・ハーン(小泉八雲) における『古事記』の重要性、さらには、ハーンのルーツであるアイルランド(ケルト)とギリシャの神話との比較対照により、日本の神話が彼のなかで昇華されて行くさま、 さらには、松江を愛したハーンが片道8時間かけて3度赴いた出雲大社において千家宮司との出会いで、『古事記』の世界が深めて行ったことを、 小泉先生自身がハーンの足跡を訪れて人々と語り追求、また撮影された写真をも提示され、先生の研究の成果を見事に展開して下さいました。
彦根駅で夕刻、解散しましたが、一圓屋敷から彦根駅への途中で、多賀大社のお田植祭も見学することができ、田植歌、踊り、田植えをする早乙女たちの姿にすがすがしい思いになりました。
今回も2日間かなりハードスケジュールでしたが、五感をもちいて想像力・創造力を研ぎすますと、何が生まれて来るかを実感し、自然と文化、そのなかにおける人間の役割や位置について深く考察することのできる2日間は、滋賀大学関係者、彦根市民、さらには他府県からの参加者も含めて意見交換を行いつつ学ぶことのできる、生きた学びの場となりました。毎回、ご協力頂いている、「魚浩」の長田さんと2人のお姉様とお兄様、多賀クラブの皆様、また、今回新しく協力して下さった皆さんの特別なお心づくしのおかげで、ますます、ゆたかなツアーになってきていること、心から感謝しております。
経済学部教授真鍋晶子