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ワークショップ2010/11/19

リスク研究センターワークショップ報告
ワークショップ(経営リスクI)第4回報告

リスク研究センターでは、11月19日、本学大学院前期課程ワークショップ(経営リスクI)において、リスク研究センター客員研究員のマイ・ゴク・ラン博士をお招きし、「ベトナムへの投資リスク」についてのワークショップを開催しました。

  【ワークショップ(経営リスクI)第4回】
          司会:リスク研究センター長・経済学部教授 久保英也氏
演 題:「ベトナムへの投資リスク」
講 師:マイ・ゴク・ラン博士(リスク研究センター客員研究員)
討論者:小田野純丸教授
日 時:11月19日(金)13:00~16:00
会 場:545共同研究室
マイゴクラン博士 久保教授
マイゴクラン博士
司会の久保教授
小田野教授 マイゴクラン博士
討論者の小田野教授
マイゴクラン博士
ワークショップ風景
ワークショップ風景
【講演要旨】
11月19日にマイ・ラン博士による「ベトナムへの投資リスク」に関するワークショップが開催された。司会の久保リスク研究センター長より、ハノイ国民経済大学でのマイ・ラン博士の経歴と同氏がべトナムのマクロ経済を専門としている研究者であることが紹介された。演題に沿って、ベトナム経済の現状について簡潔に報告がなされ、次いでベトナム向け投資に関係するリスク要因が解説された。リスク要因として、政治要因を別にすると、マクロ経済面からのものとミクロ経済学の視点から想起される多くの懸案事項に類別して考察することが便利であると指摘した。マクロ経済面では、成長政策に関連して過剰気味に政府系企業に投資融資が展開される結果、インフレリスクが表面化する部面が高まっていることが触れられた。同時に、この政策は通貨ドンの安定性を毀損する可能性を高め、種々のリスク要因に直結する問題点が指摘された。財政面からの成長誘導についても累積債務の問題と直結することが懸念されていて、成長有望国として巷間論議されているベトナム経済ではあっても慎重な経済分析が必要となっていることを解説している。ミクロ部面でのリスク要因は、安定した労働市場の運営と密接に関係するものが多いことが指摘された。インフレ高進による実質賃金の調整が遅れることにより、労働者サイドに賃金上昇を求めるストライキなどの要請を生み出すきっかけを与えるというリスク要因が強調された。賃金要因が起因となって、労働者の転職動機は否定できず、技能工の育成や教育という課題が指摘され始めていて、これらはベトナムトへの投資を検討している企業経営者にとっては深刻な課題となる可能性があることが指摘された。また、産業の民営化をどのように進めるかという政策課題についても議論を展開した。ワークショップ参加者からは多くの質問や意見が活発に提示され、ベトナム経済の現状を理解するうえで有益な研究会となった。また、高い成長の軌跡が予想されていることから、マイラン博士によるリスク要因の解説を参考に、同国のこれからの発展を注目していきたいという声が多く聞かれた。司会の久保センター長からは、東アジアの新興工業国であるベトナムの動向をマクロ・ミクロの視点から注目していきたいというまとめの言葉がありワークショップは終了した。(文責 小田野純丸)


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