経済学部

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令和4年度 研究助成報告書

(助成期間が満了された報告書を掲載しています)

  • 受付No:2202
  • 研究者名:近藤 豊将
  • 研究名称:非線形写像の不動点定理とその近似問題の研究

研究成果の概要 

企業にとっての利潤最大化問題、政府にとっての予算の最適配分問題など、社会における最適化問題の重要性は論を俟たない。最適化問題の解集合は、標準的な設定の下で、非拡大写像と呼ばれる非線形写像の不動点集合と一致することが知られている。本研究では、この非拡大写像を特殊ケースとして包含する一般的な非線形写像について、不動点理論の発展に寄与する研究を行った。そのテーマは、以下の3つに大別される。

(1)   新しい不動点定理を証明し、その結果を紹介する解説文を紀要に寄稿した。

(2)   複数の写像の共通不動点の存在を示す新しい共通不動点定理を証明した。

(3)   不動点を近似する点列の構成方法を研究し、最適化問題の解を求める方法に応用した。

その成果は、紀要に寄稿した解説文に加えて、6編の原著論文として査読付きの国際ジャーナルに掲載した。


  • 課題No:2203
  • 研究者名:坂野 鉄也
  • 【共同研究者】阿部 安成(経済学部・教授)
  • 研究名称: 旧制官立高等商業学校の人材育成事業をめぐる実証研究

  研究成果の概要 

 比較史の観点を不可欠とするわたしたちの旧制官立高等商業学校史研究の成果は、その一端を本学部附属史料館2022年度企画展(20221011日~同年1111日開催)「彦根高商創立百周年記念「100年に向かう学知と人材育成」」において示した。

 本申請研究においてはとりわけ、比較の対象として長崎高等商業学校と高岡高等商業学校をとりあげた。前者はほかの高等商業学校ではあまりみられない夜学講習と成人教育を実施し、地域の職業人や成人に提供した修学の場は、ときにそれぞれの職場でのステップアップへの機会に転じたとおもわれる。そうした学外への事業を担った同校研究館の史料を閲覧、デジタル撮影した。後者は高等商業学校としては数少ない非県庁等所在地に設置された学校で、そうした場所でありながらもそこは日本海交易の要衝の地高岡であり、朝鮮半島-ユーラシア大陸-日本列島に囲まれた環日本海をみはるかす同校の教育内容を記した学校要覧と同窓会名簿との一部をデジタル撮影した。


  • 課題No:2204
  • 研究者名:中野 桂
  • 【共同研究者】近藤 紀章(経済学部・教授・環境総合研究センター・客員研究員)
  • 研究名称:リスク環境下におけるエコ・ビレッジの継続要因―コロナ禍におけるコミュニティ・ガバナンスー

  研究成果の概要 

 本研究の目的はAuroville(インド)を対象として、基礎資料の整理とコロナ禍におけるコミュニティの変化を明らかにすることである。

 構築したデータベースからコロナ禍に関する情報を抽出し、テキスト分析をおこなった。ロックダウン情報、ボランティアや食事、家庭や教育、健康と衛生に関する傾向を把握できた。

 居住者に対する現地ヒアリング調査を8月におこなった。この結果、「Auroville全体、インターナショナルなコミュニティ、居住コミュニティで、情報共有と暮らしに対するサポートが複合的に作用していること」、「コロナ禍以上に、ビジョン実現にむけた開発圧力、インド政府による介入が喫緊の課題であること」が明らかとなった。

 小川美農里さん(ダーナビレッジ代表)による講演会を通じて、オーロビンドの思想はインテグラル理論やティール組織に影響を与えていること、日本人向けの現地体験ツアーが開催されるという示唆を得た。この示唆をもとに近藤隆二郎さん(Gokan Social Design Lab.)から組織論の解釈、坪井友紀乃さん(経済学部学生)による報告を加えて、成果報告会に実施した。


  • 課題No.2101
  • 研究者名:能登 真規子
  • 研究名称:扶養義務の法的性質に関する基礎的研究

  研究成果の概要

 わが国の民法が扶養義務に関わらせる親族の範囲は広い。しかし、いわゆる生活保持義務が認められる場合でも、扶養を受ける側(例、未成熟の子)の権利保障は必ずしも十分ではない。逆に、わが国には生活保護や入院・入所時の身元保証等、ある人が他者(国を含む)の助けを必要とする場面では、その人の近親者に対し、扶養義務の有無によらず広範に関与や負担を求める慣行がある。扶養義務に関する法規範が限定的にしか機能していないと言わざるを得ない。
 生活保護実務では、同一世帯にある以上、全員に生活保持義務と同等の負担が課されてきたようであるが、熊本地判令和4・10・3は世帯分離を受けて看護専門学校に進学した学生(生活保護受給者の孫)の収入を被保護世帯の収入に当然には含めないことを認めた。本判決を素材に、近親者の負担は当事者の協議・家庭裁判所の審判による扶養義務の内容決定に基づくべきこと、とりわけ修学中の若年者には一家の生計維持者としての役割を免除すべきこと等を論じた。


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