経済学部

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令和2年度 研究助成報告書

(助成期間が満了された報告書を掲載しています)

  • 課題番号 1901
  • 調査・研究の名称:個人的意思決定と集団的意思決定でのフリーライド可能性の環境経済学的研究―:集団と個人のリスク認知の差異と反応分析
  • 氏名 森 宏一郎

研究成果の概要 

 本研究プロジェクトでは、サーベイ実験を通して、人々の環境配慮度の測定と好環境行動の意思決定メカニズムを分析している。この努力により、「地球環境問題を政治・経済人だけの問題ではなく、一般市民全員が責任を負うべき問題である」という認識を市民に与えることを目的としている。2019年度はパイロットスタディとして、滋賀大学経済学部・データサイエンス学部の学生102人を対象に3種類のアンケートと実験を実施した。実験の実施後、学生から「もうペットボトルの飲料が買えません」「ナイロン袋がもらいにくくなりました」などという声を聴くこともでき、プロジェクトの出だしとしてはまずまずの手ごたえである。
 2020年度は大学の外の市民(広島県佐木島の住民などを検討中)も含め、より多様な人々を対象としてサンプルデータの獲得を目指す。加えて、実験参加者の行動を追跡調査することでタイムシリーズデータを獲得し、動学的な分析を行うことも視野に入れている。


  • 課題番号 1902
  • 調査・研究の名称:日本企業の環境保全活動の実態とその取り組みの成果に関する研究−製造業を対象とした質問票調査結果に基づいて−
  • 氏名 北田 真紀

研究成果の概要

 日本企業の環境保全活動の実態とその取り組みの成果について明らかにすることを目的とし、東証一部上場企業の製造業を対象に、「日本企業の環境保全活動の実態とその取り組みの成果に関するアンケート調査」を実施している。909社へ送付し、168社より有効回答を得られている(回答率:18.5%)。

 また、回答内容について今後インタビュー調査を予定しているため、質問票においてインタビュー調査の可否を尋ねた結果、45社よりインタビュー調査可能との許可を得ている。質問票調査の結果、廃棄する際に環境汚染物質を出さない資源や材料を積極的に購入したり、製造工程・工場から排出された有害な廃棄物の取り扱いと廃棄に留意したりする企業が多数みられ、その廃棄物のリサイクルも積極的に行っていることが明らかとなった。

 その一方で、再生可能エネルギーの使用状況は発展段階にあり、同業種もしくは異業種の企業と、環境に関する実用技術またはその基礎研究における業務提携については課題点が多いことが明らかとなった。調査にご協力いただいた企業の皆様へ心より感謝を申し上げたい。


  • 課題番号 2001
  • 調査・研究の名称:ワルラスにおける企業者利潤とリスクー経済学史の観点から
  • 氏名 御崎 加代子

研究成果の概要

 本研究の目的は、ワルラスの「企業者兼労働者(企業者機能を兼務する労働者)」概念を手掛かりに、利潤の源泉についてのワルラスの考え方を再考することである。ワルラスの一般均衡モデルにおいては、企業者が受け取る利潤はゼロになること、そのモデルにおいては不確実性についての分析が欠如していることはよく知られている。本研究では、ワルラスが一般均衡理論を完成させる前に経験した協同組合運動と、一般均衡理論との関係性を手掛かりに、ワルラスが損失リスクと相互的な関係にある利潤だけでなく、企業者機能を兼務する労働者の生産性の上昇等によって発生する消滅することのない利潤を想定していたことを明らかにした。ワルラスはこの考え方に基づき、利潤を独占や搾取と結びつける、同時代の経済学者たち(マルクスを含む)を批判した。

 今後の課題は、このようなワルラスの利潤観と一般均衡理論における不確実性分析の欠如との関係とその意義について、理論的、思想的、歴史的観点から明らかにすることである。


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