経済学部・大学院経済学研究科

【開催報告】小林文彦先生(伊藤忠商事株式会社 代表取締役 副社長執行役員 CAO、本学客員教授)による講演会 "企業の競争戦略と「三方よし」" :2025年12月8日

photo 2025年12月8日(月)12時50分より、彦根キャンパスの滋賀大学講堂において、 小林文彦先生(伊藤忠商事株式会社 代表取締役 副社長執行役員 CAO、本学客員教授)による講演会 "企業の競争戦略と「三方よし」" が開催されました。多数の学生・教職員が来場し、会場は大盛況となりました。

伊藤忠商事株式会社は1858年創業、1949年設立、現在、国内7拠点、海外85拠点(世界60か国)で事業展開する日本を代表する総合商社であり、企業価値の持続的向上を目指し多面的な経営改革に取り組まれています。特に 労働生産性向上と働き方改革の推進は顕著であり、「厳しくとも働きがいのある会社へ」という経営目標を着実に実現されてきました。

その背景にある重要な経営理念が「三方よし(売り手によし・買い手によし・世間によし)」です。「三方よし」は信用を基盤とする近江商人の倫理観を象徴するもので、2020年4月には伊藤忠グループの企業理念として正式に採用されました。この理念を基軸とした労働生産性向上モデルは、企業価値向上のみならず、社会的課題を解決するベストプラクティスとして世界の研究者からも高い注目を集めています。

講演では、株主資本主義からステークホルダー資本主義へと世界的にパラダイムが移行する中で、企業の目的や倫理観を再定義する動きが加速している点が述べられました。
その上で小林先生は、企業倫理に関連する概念としてよく知られているものの、目的・射程を異にするため議論に断絶も見られる Purpose(理念:Why)、CSV(Creating Shared Value:戦略:What)、Mutuality(制度:How) という西欧型経営フレームに対し、日本型倫理である「三方よし」を"Ethical Spine(魂・倫理的中枢)"として再統合する倫理資本主義の統一理論を提示されました。

講演の終盤では、伊藤忠商事における数々の実践事例もご紹介いただきました。
理論と実務双方への示唆に富む内容であり、講演後には、取り囲んだ多くの学生からの質問に丁寧にお答えいただいていました。

本講演会は、本学にとりまして大変貴重な機会となりました。
ご講演いただいた小林先生、ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

参考資料: 20251208_三方よし資本主義ExecutiveSummary.pdf

 

小林文彦先生
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
竹村学長より挨拶
小倉理事より挨拶