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開催報告:国際シンポジウム「帝国日本の専門教育―高等商業学校と女子高等師範学校を中心に―」

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 国際シンポジウム「帝国日本の専門教育―高等商業学校と女子高等師範学校を中心に」を、2025年12月20日に滋賀大学彦根キャンパス総合研究棟において開催しました。報告は3編――金泰雄(ソウル大学)「日帝下京城高等商業学生の立場と卒業生の進路」は、在校生の年次、「経済状況」、「戦時体制」、そして史料をふまえて、1921年から1943年までを3期に区分して、官立京城高等商業学校生徒の「民族構成」「出身学校」「就業職群」などをたどり、その「様相と特徴」を明らかにしました。今井綾乃(滋賀大学経済経営研究所)「20世紀前期官立高等商業学校の支那科・東亜科について―その学科課程と進路動向」は、山口、彦根、大分、高岡、台北の官立高等商業学校におかれた支那科-東亜科をとりあげて、それをめぐる学科目、教官、調査研究機関などを示したうえで、あわせて、彦根の同科卒業生の進路を追跡しました。金廣珪(韓国教育課程評価院)「植民地朝鮮人女性エリートの解放以降―女子高等師範学校留学生を中心に」は、「日本留学」をした「植民地朝鮮人女性エリート」の女子高等師範学校「入学」、その後の「帰国後」、さらに「八・一五解放後」をていねいにたどりました。

 本シンポジウムには、石川裕之(京都女子大学)による簡潔、明快、適確なコメントがあり、それがこの日の饗を引き締めました。

 このシンポジウムの論点の一端を示すにあたって、金泰雄報告への石川コメントにあった「アスピレーション」の語を借用しましょう。それは、入学にさいしても、そして卒業後の就業においても「民族差別の原理が作動していた」京城高等商業学校を目指し続ける意志の熱であり、東京と奈良にしかない官立女子高等師範学校へ朝鮮半島から留学しよう(そして、その後のあるていどの見通しももちながら)とする「家父長から大切にされた愛娘」たちの憧れの根にある凛であり、5校の官立高等商業学校におかれた支那科-東亜科のオリエンテイションに籠る東アジアを見遣るその眼の遠望と注視の逞しさでした。

こうした「アスピレーション」は、帝国-植民地を場とした教育と就業にどう作用したりしなかったりしたのでしょうか。植民地での帝国による制度としての教育の、また、植民地から帝国本国への留学をとおした、そして帝国本国における「東亜」を見晴るかした教育制度のもとでの、実業男子や師範女子たちの修学とそれを元とした就業とは、帝国による統治の仕組みのなにをどう動かしたり支えたり空転(idling)させたりしたのか(また、そうした働きをしなかったりしたのか)、それを生きる人びとの「生」をどうかたちづくったりしなかったりしたのか――そうした課題を共有する機会として、本シンポジウムはその役を果たしました。このシンポジウムの詳細については、後日発表する稿をお待ちください。

 本シンポジウムにあわせて、かつて、2023年から2024年にかけて開催した企画展「経済経営研究所百年紀―彦根高商に始まる、教育、調査、研究の1世紀」の一部を再展示しました(しがだい資料展示コーナー)。そこでの眼目は、官立高等商業学校のすべての所在地をひと目で見渡せ、あわせて、いくつかの高商の徽章を提示したところにありました。

 このシンポジウムの事務手続き、準備、開催、そのあとかたづけにかかわったすべての方々にお礼をもうしあげます。ありがとうございました。 

(阿部安成)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

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