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2015/3/27セミナー

セ ミ ナ ー 報 告

リスク研究センターでは経済経営研究所と共催で平成27年3月27日(金)
滋賀大学大津サテライトプラザにてセミナーを開催しました。
  日 時: 平成27年3月27日(金)13:00~15:30 
  会 場: 滋賀大学 大津サテライトプラザ会議室
〒520-0056 大津市末広町1-1(JR大津駅前 日本生命大津ビル4階)

演 題:『地震対策の評価と教訓』(東日本大震災、福島原発事故を経験して) -福島第1原発10km圏内病院透析施設からの報告- 報告者: 尾澤康彰氏(日本透析医学会専門医、前 西病院副院長)  司会 : 梅澤 直樹(本学 経済学部教授)

◆◇◆ 講 演 概 要 ◆◇◆

  本講演では、腎臓透析が水や電気の供給、施設、備品、医薬品、専門スタッフなどいわば幾重もの積み木に支えられた、したがって災害にはきわめて脆い性質を帯びていることをまず確認したうえで、だからこそ新潟中越地震を教訓に周到な地震対策が準備されてきていたことが、福島県浜通り北部地域の6つの病院関係者らの勉強会、患者への指導方法などに即して説明された。その結果、地震対策自体は概ね奏功したが、福島第一原発事故ゆえの混乱に巻き込まれ、さまざまな教訓をあらためて得たことも報告された。勉強会を通じて他の病院との比較の中で各病院が自らの強みと弱点を知り、進んだ知識を共有していったり、他の病院との競争を励みとして切磋琢磨しあうようになったといった経験は、腎臓透析にかぎらず様々なリスクに対処するうえで示唆的であった。また、緊急時の対応に必要な理解を得ておくために自治体や警察などに勉強会への参加をより積極的に働きかけるべきであったという反省点からも学ばせていただいた。さらに、講演者が長い年月をかけて整備してこられ、完成目前に迫っていた地域の透析拠点の構築が、原発事故により一瞬にして霧散してしまったことの無念さは、参加者に暗黙裡に伝わり、多くの人々の一生を左右してしまうような巨大なリスクを内包した事業を遂行する企業、行政、関係者(それを暗黙にであれ支持する一般市民を含めて)に求められる覚悟について、講演後の質疑応答のなかで論議が交わされたことも深い印象を残した。
  年度末の多忙な時期に遠路かけつけ貴重なご講演を賜った尾澤氏、および貴重な時間を割いて聴講下さった約20名の参加者にあらためて御礼申し上げたい。(文責 梅澤直樹)
尾澤康彰氏 梅澤直樹教授 久保英也教授
尾澤康彰氏
司会の梅澤直樹教授
司会の久保英也教授
  セミナー風景
セミナー風景


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