- 日 時:令和元年7月11日(木)16:10~17:40(5限)
- 会 場:セミナー室1(滋賀大学彦根キャンパス士魂商才館3F)
- 分 野:国際経済学セミナー
- 表 題:Currency Portfolio of External Debt, Exchange Rate Cyclicality, and Consumption Volatility-外的債務の通貨内訳、為替レートの周期変動、消費のボラティリティ-
- 講 師:藤井 英次 氏 (関西学院大学経済学研究科 教授)
- 言 語: 日本語
- 招聘担当:得田雅章 教授 20190711ポスター.pdf
【セミナー報告】
経済学科 教授 得田 雅章
藤井 英次(エイジ)氏はご専門が国際金融論、国際経済学、および応用計量経済学であります。今年度セミナーの4回目にあたる今回、国際経済学セミナーのカテゴリで、外的債務の通貨内訳、為替レートの周期変動、消費のボラティリティ(Currency Portfolio of External Debt, Exchange Rate Cyclicality, and Consumption Volatility)について、氏の研究成果をご披露頂きました。
対外債務の累積が、債務危機あるいは債務不履行に陥るケースというのは、ここ20年間で見てもギリシャ、アルゼンチン、エクアドル、ロシアと度々生じています。こうした国々は、対外的な借り入れを自国通貨建てで行うことができません。外貨建てで海外から借り入れざるを得ない「原罪(original sin)」という事態に直面しています。
これまでの研究では、この原罪の問題点指摘や根本的解決の必要性、これらが活発に議論されてきました。ただし、先生はこの原罪を所与(given)として捉え、そのうえで最適な債務戦略というものを、実証分析により提唱しようと模索されていました。
中・低所得国は、外貨建て対外債務とどう向き合うべきか。原罪の広がりや借入行動の国あるいは時間を通じての異質性といったファクトベースの思考には、大いに学ばされる思いがしました。同時に、私の専門でもある国内経済につきましても、Koo (2018)[1]で主張されているように、「債務(負債)」に関係するバランスシート調整が、今後の経済分析において一層重要なファクターになってくると感じました。
研究のモチベーションに関し、相当の時間をかけて熱心に説く様や、学生からの質問にわかりやすく答える様に、先生のお人柄が垣間見えたセミナーとなりました。
[1] Koo, R. C. "The Other Half of Macroeconomics and the Fate of Globalization", Wiley, 2018