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療養所の自治活動についての実証研究

社会システム学科 教授 阿部 安成
 本研究は、香川県の大島に設置された療養所における自治の諸相を明らかにするために、(1)自治を担った人物の個人史、(2)大島におけるメディア刊行とその機能、(3)大島の療養所と地域との関係、(4)自治をめぐる史料整理、という課題を設定した。
なお、大島における自治をめぐる史料整理は、今後も継続してゆく。
本基金による調査研究の成果を以下に列挙する。
  1. 阿部安成、石居人也「信仰とメディア-国立療養所大島青松園キリスト教霊交会という場」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.197、2013年7月。
  2. 阿部安成「歴史の島-国立療養所大島青松園の記述をめぐる歴史の領分」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.199、2013年8月。
  3. 阿部安成「故郷の島-国立療養所大島青松園の記述をめぐる歴史の領分(2)」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.201、2013年9月。
  4. 阿部安成「読めない詩-癩療養者長田穂波と訳詩者ロイス・エリクソン」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.202、2013年9月。
  5. 阿部安成「〈シリーズ『藻汐草』を読む(1)〉創始する発信-国立療養所大島青松園関係史料の保存と公開と活用にむけて」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.205、2013年12月。
  6. 阿部安成「病むからだ、信ずるこころ-ハンセン病の療養所におけるキリスト教信仰をめぐるいくつかの論点」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.206、2014年1月。
  7. 阿部安成「病むあのひとたち、信ずるわたしたち-ハンセン病の療養所におけるキリスト教信仰をめぐるいくつかの論点」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.207、2014年2月。
  8. 阿部安成「書評 石原俊著『〈群島〉の歴史社会学』」『週刊読書人』第3028号、読書人、2014年2月。
  9. 阿部安成、石居人也「父母に抱かれた「聖者」のひと-国立療養所大島青松園在住者の顕彰」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.208、2014年3月。
  10. 阿部安成監修、解説『藻汐草』リプリント国立療養所大島青松園史料シリーズ2、近現代資料刊行会、2014年4月刊行予定。
 (1)の課題については、大島における自治の担い手の1つに島内のキリスト教信徒集団があったことを指摘し、自治を担った信徒の療養所内での文芸活動、没後の顕彰、を論じた(成果1.4.9.)。
 (2)の課題については、療養所内で発行された逐次刊行物『藻汐草』のリプリント版を発行し、これまでは療養所が編集と発行を担ったいわば官制逐次刊行物とみられてきた同誌を分析した結果、同誌編集における療養者の深い「介入」を明らかにした。また同誌の他園への発送情況を長島愛生園神谷書庫での所蔵例をとおして確認した(成果1.5.10.)。
 (3)の課題については、ともかくも療養者による自治活動が展開した療養所と、それが設置された地域との関係をたどる試みを示した(成果2.3.)。
 また本研究の論点を明確にするために、先行する研究と関連する最新研究についての書評を発表した(成果6.7.8.)。
 (4)の課題については、今秋成果発表の予定。

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