経済学部・大学院経済学研究科

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講演会「なぜ選択的夫婦別姓は認められないのかー日本の事情・世界の事情-」(7月21日)

      • 日 時:2025年7月21日(月)18:00-19:00
      • 表 題:「なぜ選択的夫婦別姓は認められないのかー日本の事情・世界の事情-」
      • 発表者:井田 奈穂(一般社団法人あすには代表理事) 
      • 開催様式:Web開催(学内限定)
      • 司会:菊地 利奈(本学経済学部教授)

講演報告

世界各国にはさまざまな氏名の継承の仕方があり、なかには苗字が存在しない国もあります。しかし、「夫婦が同姓(同じ苗字)でなければならない」 と定められているのは、世界ひろしといえど、日本だけです。なぜ日本では、結婚したら夫婦になるどちらかがそれまでの自分の苗字を捨て、改姓しなければならないのでしょうか。

 本講演会講師の井田奈穂氏は、「結婚を機に夫婦同姓にしたい人は同姓」 を、「ふたりとも自分の苗字のままでいたい人は夫婦別姓」を選べる制度である「選択的夫婦別姓」制度を実現し、「自分の名前で生きる自由」を日本でも獲得しようと長年運動をされています。夫婦は同姓である必要があるのか、家族が「ひとつの苗字」であることと家庭崩壊には関連はあるのか、日本で「選択的夫婦別姓」当該制度が何十年も認められないのはなぜか、世界の事情と比べながら、人権やジェンダー平等の視点からお話しいただきました。

 講演では、韓国、ドイツ、英国、米国、ベルギー、フランス、ミャンマー、ハンガリーの別姓の事例が示されました。それに対し、日本では「結婚による改姓」によって、苗字を変える人が踏まなければならない手続きが数多くあること、また、苗字を変えることによって生じる不利益も多いことを、具体例を通して学ぶことができました。特に学生は、苗字を変えるのが妻であるケースが95%以上を占め、これらの「面倒くさいこと」や「損」や「いやな思い」が、結婚する女性側にだけ押しつけられる形になっていることに、驚きを隠せない様子でした。将来自分たちが直面する可能性がある問題について充分に知る機会が与えられていないこと、「伝統を守る」という主張への疑念、風習に逆らう事への不安、妻と夫だけではなく子どもの「苗字」を守る権利についてなど、さまざまな視点から意見や質問があがりました。

 井田氏は、データ、世界各国の事例、日本国内の政治事情など、豊富な知識と体験を基に解説しながら、学生の質問に答えてくださいました。改めて御礼申し上げます。出席者のみなさんからご質問、ご意見、ご感想をお寄せいただいたことにも、心より御礼感謝申し上げます。(出席者 57 名、うち教職員2名)

(文責:経済学部教授 菊地利奈)


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