・講演日時:2024年11月14日(木)16:10-17:40
・表題:「かわいい」ってなんだろう? 実験心理学からのアプローチ
・講師:入戸野 宏 先生(大阪大学人間科学研究科 人間科学専攻 教授)
・開催様式:対面
・開催場所:セミナー室Ⅰ(士魂商才館3F)
セミナー概要
「かわいい」という言葉は,私たちの日常生活にあふれています。赤ちゃんからペット,アニメ,ファッションに至るまで,さまざまなものが「かわいい」と呼ばれていますが,その共通点は何でしょうか? 今回の講演では,「かわいい」とcuteの違い,かわいいと感じることで生じる心身の変化,性差や文化差など,心理学の実験や調査によって明らかとなった「かわいい」の姿についてご紹介するとともに,「かわいい」のこれからについて展望します。
セミナー報告
大阪大学人間科学研究科の入戸野宏教授を招いた本セミナーでは、『「かわいい」ってなんだろう? 実験心理学からのアプローチ』と題し、日常的に使用される「かわいい」という概念に関する、実験心理学的アプローチからの研究成果が報告された。
報告はまず、「かわいい」の語源や辞書的定義を紹介することから始まり、「かわいい」という多義的な概念をどのように分析すればよいかについて丁寧に説明が行われた。次に、一つ目の研究成果として紹介されたのは、「かわいい」という言葉の意味を日本語・外国語の双方の類義語から相対的に分析した一連の研究である。この研究成果をもとに「かわいい」という言葉の汎用性などについて明らかにされたことが紹介された。第二に、「かわいい」と感じる要因を検証した研究について報告がなされた。従来、乳児の持つ特徴への反応(ベビースキーマ)として説明されてきた「かわいい」という感情が、実際にはより広範な要因によって喚起されることを示す研究結果が紹介された。第三に、「かわいい」がもたらす影響について、評価と感情の二つの側面から検討するモデルが紹介された。「かわいい」という概念は単なるものに対する評価にとどまらず、「かわいい」と感じることが本人や他者との関係へ影響を及ぼしているとの興味深い研究結果が示された。報告後の質疑応答では、学部生を含む参加者から多くの質問が寄せられ、活発な議論が展開された。
対面参加者50名、オンライン参加者10名という多数の参加者がいた本セミナーは、「かわいい」という身近な概念へ科学的に分析する方法論を明らかにしており、今後の研究展開への期待を高めるものとなった。セミナーの前後に設けられた交流の場では、参加者と講演者の間で和やかな雰囲気のもと、研究背景や今後の研究の展望について意見交換が行われ、実り多い機会となった。
(経済学部講師 井上 俊克)
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