経済学部

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第4回先端研究セミナー(20210114)

・日時:2021年1月14日(木)16:10-17:40

・表題:暗号資産とデジタル通貨

・講師:岩下 直行 先生(京都大学公共政策大学院 教授)

・開催場所:オンライン開催(登録はこちらから


・概 要


ビットコインは、2009年1月に始められた時は、単なる実験にすぎなかったが、約12年を経て価格が高騰してきている。ビットコインを含む暗号資産は60兆円近い流通残高を持ち、日本国内だけで350万人もの投資家が居るという。他方で、暗号資産を悪用した犯罪資金の洗浄など、いかがわしさを拭いきれない面を持つ。

暗号資産から派生した構想として、フェイスブックのリブラ構想などの民間デジタル通貨、中央銀行が発行する中銀デジタル通貨(CBDC)も注目を集めている。2020年10月には先進国の中央銀行が連名でCBDCに関するレポートを公表し、日本銀行は実証実験を進めることを表明した。こうしたデジタル通貨は、現在普及している電子マネーやキャッシュレス決済手段とはどう異なるのだろう。仮に日銀がCBDCを発行するようになれば、我々の生活で使われる現金や銀行預金はどうなるのだろうか。

本セミナーでは、こうした疑問に丁寧に答えつつ、暗号資産とデジタル通貨の実態について解説する。


20210114.pngセミナー報告

 2021年最初になります第4回先端研究セミナーの報告者は、2017年に日銀を退職されるまでフィンテックセンター長などを歴任された京都大学の岩下先生です。セミナーでは、岩下先生の研究対象の一つである「暗号資産とデジタル通貨」について報告して頂きました。暗号資産の代表であるビットコインが高騰している中、ビットコインの値動きの背景やその将来的可能性、中国をはじめとする各国が研究などを進めている中銀デジタル通貨やフェイスブックが発行計画を立てたリブラについて、非常に興味深い報告をして頂きました。

 報告の内容は、暗号資産に投資するわが国の個人投資家は、延べ350万人を数え、10代から40代までが8割を超えること、ビットコインの誕生は、サカシナカモトと名乗る人物が2008年に論文を書き、それに基づきビットコインVer.0.1をリリースしたことによること、その後徐々にビットコインの価値が、特に自由主義信奉者によって認められたこと、ビットコインは、多くのコンピュータがフラットの中でネットワークを介して繋がっている中で、ハッシュ関数を使ってブロックを作り、それを連続させることで、安全性を高めていること、ただし、自分の正体を明かさないで電子的な価値を移転できるものであり、不正な取引がつきまとうこと、2017年には、暗号資産を公開で売却するICOによって価値が高騰し、2019年から、テザー社などの錬金術によって高騰したこと、2019年6月には、フェイスブックがリブラ構想を公表したこと、中銀デジタル通貨(CBDC)の仕組みのご説明の後、当面の情報技術に基づくCBDCの課題などなどについて報告頂きました。質疑応答では、暗号資産が既存の銀行決済システムを塗り替えるのかというご質問に対し、ビットコインなどの暗号資産は技術パラダイムの変化ではあるが、今投資すれば船に乗れるというのは、先物買いし過ぎであり、何かやりたいのならば、誰かがきちんとやる必要があるという回答が印象深く、今回のテーマが時機を得た非常に重要なものであることが分かりました。

(文責 ファイナンス学科 特別招聘准教授 吉田桂)