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第3回先端研究セミナー(20201222)

・日時:2020年12月22日(火)10:30~12:00

・表題:中小企業と海外生産

・講師:弘中史子 先生(中京大学総合政策学部大学院経済学研究科教授)

・開催場所:オンライン開催


概 要

 日本企業の国際化はますます進展しており,中小企業も例外ではありません。
日本では企業数のうち99%を中小企業がしめており,日本が国際競争力を持つ自動車,情報家電,航空機部品等は,中小企業のサプライヤーが支えています。
 しかしヒト・モノ・カネといった経営資源に制約のある中小企業は,国際化をする上で様々な課題に直面します。このセミナーでは,国際化の中でも特に「生産活動」に焦点をあてて,中小企業が海外で具体的にどのような課題に直面することが多いのか,それらに現状ではどのように対応しているのか,今後企業としてさらなる成長をめざすためにはどのような戦略が求められるのかなどを,みなさんと一緒に考えていきたいと思います。


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 2020年最後になります第3回目の先端研究セミナーの報告者は、昨年度まで滋賀大学で奉職されておりました中京大学の弘中先生です。セミナーでは、弘中先生のご専門である「中小企業と海外進出」について報告して頂きました。コロナによって人と人とのコミュニケーション方法が大きく変化する中、海外進出した中小企業が直面している職場でのコミュニケーション問題やその解決策のヒントとなる分析結果について、非常に興味深い報告をして頂きました。
 報告の内容は、マレーシアに進出したに日本企業で働く日本人と現地従業員に対するアンケート調査と、日本国内でベトナム人を採用したことを契機としてベトナムへの海外進出に成功した企業の事例研究であり、いずれの報告でも異文化・異国間コミュニケーションや企業内の国際化の問題に鋭く切り込むものでした。アンケート調査からは、日本人管理者と現地従業員が円滑なコミュニケーションを達成するためには、コミュニケーション・スキルの向上や伝達手段の工夫だけでなく、「異文化・社会をどのように理解し、解釈するか」といった認知面からの改善が重要である点を解説していただきました。
 また、ベトナムへの海外進出を成功させた企業の事例研究からは、海外生産において高い品質の維持と円滑なコミュニケーションを実現するためには、海外進出前にベトナム人(外国人)を日本国内で雇用そして育成し、「内なる国際化」を達成することが重要である点を提示していただきました。
 報告後は、概念の定義や分析方法などについて経営学の研究者から質問が挙がるだけでなく、現場をする実務家のからもご自身の経験との一致点や相違点について多くの質問があり、今回のテーマが学術的にも、政策的にも非常に重要なものであることが明らかになりました。

(文責 社会システム科 准教授 大村啓喬)