実施報告
2025年2月16日、岡山県赤磐市松木にある永瀬清子生家で第6回紅梅忌が開催されました。
詩人永瀬清子の没後30周年を記念するこの会は、県境を超えて、滋賀大学が共催しました。滋賀大学の「経済経営研究所」が詩に関するイベントを助成する、ということに面食らう方もいるかもしれませんが、滋賀大学経済学部は高等商業高等学校(高商)のリベラルアーツ(文化、文学、歴史等)を重んじる伝統を引き継いでいます。高商時代から続く、文化や文学を愛でる心がなければ経済人として成り立たないという精神を、滋賀大学はこれからも大切にしたいという思いから、共催が可能になったと考えています。
紅梅忌では、永瀬が亡くなった時に文人らから寄せられた追悼文が朗読され、第七回永瀬清子現代詩賞表彰式がおこなわれました。2023年1月に永瀬清子生家で撮影された永瀬清子詩バイリンガル朗読ビデオ(朗読:菊地利奈&ジェフリー・アングルス、撮影&制作:深堀瑞穂)も上映され、永瀬清子の詩を愛する参加者たちと詩について語らったり、受賞作品や永瀬清子についての寄稿エッセイが掲載された『いつかだれかにわたしの思いを』を読んだり、朗読ビデオで朗読を聞いたり、ギャラリー『さっき清子がいた』展で永瀬について学んだり。部屋にあふれる参加者らの熱気につつまれながら、永瀬詩の魅力に心を寄せる一日となりました。
滋賀大からは、2022年度滋賀大学共同研究プロジェクト助成事業「<世界文学>における日本語女性詩の位置と意義」を受けて作成した上記バイリンガル朗読ビデオを上映するだけでなく、滋賀大学経済学会公募型特別事業を受け「缶バッチ作成ブース」を準備し、永瀬清子の詩から好きなことばを選んでいただき、紅梅忌記念缶バッチを作成してもらいました。
詩はことば。ことばは人を生かします。慌ただしい毎日の生活に追われる我々にとって、このようなイベントに参加することが、ことばと向きあう時間になると信じます。そして、滋賀大だけでなく、地元岡山の大学や他の機関にも、詩や詩人関連イベントに関心を持ってもらえるきっかけになれば、とも思います。
永瀬清子生家保存会のみなさんの活動に敬意を込めて、生家がこれからますます詩の発信空間になっていくことを祈ります。また、文化・文学イベントの社会的貢献の重要さに理解をしめし、紅梅忌共催のために研究助成を認めてくださいました滋賀大学経済経営研究所、並びに、共催に向けの準備を手伝ってくださった経済経営研究所のスタッフのみなさんに、この場を借りて心から御礼申し上げます。
第6回紅梅忌の様子は、朝日新聞岡山版(2月19日)、山陽新聞(2月21日)に掲載されました。永瀬清子生家保存会HPでも紹介されています。また、岡山在住の詩人・斎藤恵子さんによる紅梅忌レポートが『現代詩手帖』に掲載されることになっています。
文責:経済学部教授 菊地利奈
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以下撮影:深堀瑞穂







