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講演会「幻景のまち 妖怪からみた彦根」

日 時: 2024年1月15日(月)14:30~16:00

論 題: 「幻景のまち 妖怪からみた彦根」

講 師: 杉原正樹 氏(有限会社北風寫眞舘代表、情報紙DADAJournal編集人)

場 所: 滋賀大学彦根キャンパス 大合併教室

開催様式:対面及びオンライン

講演概要

彦根や湖東、湖北の地域情報紙、DADAJournal編集人の杉原正樹さんをお招きしてお話をお伺いします。これまで杉原さんは、先人の記述を読み、かろうじて残る痕跡を探してまちを歩くなかで、妖怪を追い続けてこられました。その一部を「淡海妖怪拾遺」(サンライズ出版)から出版されました。今回は、妖怪を通してまちを見るという興味の持ち方についてお話いただきます。

なお、本講演会は経済学部「地域の社会と経済」を外部公開して実施します。あらかじめご了承ください。


講演報告

都市デザインの分野では、文学作品や絵画、映像を手がかりとして、そこに描かれた都市のイメージを抽出してきた。前田愛による「都市空間のなかの文学」、「幻景の街」などの作品が有名である。東京や大阪であれば、さまざまな作品に描かれた都市のイメージを抽出することができるだろう。では、彦根のようなまちや集落では、どうすればよいのだろうか。その一つの方法として、『淡海妖怪拾遺』(サンライズ出版)にまとめた杉原さんをお招きして、妖怪を通して彦根を読み解くことを試みた。

杉原さんは、石碑や建物、神事など、残そうと思わないと残っていかない、忘れ去られてしまいそうな「儚い」ものに興味があるという。確かに、彦根や滋賀にある不思議なもの、わからないことを調べると杉原さんが編集に携わるDADA Journalにいつも辿り着く。杉原さんが30年にわたって追いかけている妖怪は、何かを振り返ろうとするときにある存在であり、まちの記憶や歴史を辿る手段ともいう。古い文献や資料を探して歩き、読み解き、現地に出かけて取材をし、妖怪をさまざまな角度から浮かび上がらせている。今回は、彦根の城下町、高宮や多賀にいる妖怪、そして滋賀大の周辺にいる妖怪の紹介をいただいた。確かに話を聞くと、その妖怪が何かというよりも、なぜ、その場所に妖怪がいるのかということがわかる。詳しい妖怪の話は淡海妖怪拾遺をぜひご一読願いたい。

最後に、妖怪のことはわかったが、どうすれば彦根が見えるのか?と思う学生もいるだろう。そう思う人は、淡海妖怪拾遺を持って、キャンパス北門から北野神社や観音堂筋を歩いてほしい。目の前の風景からは、高橋敬吉の時代の痕跡を見出すことすらできないかもしれない。それでも、目の前と風景と、彦根での暮らし、少なくとも滋賀大のキャンパスで過ごすという生活体験の微妙な応答のなかで、何らかのイメージが浮かび上がるはずである。言うまでもなく、この応答を媒介する淡海妖怪拾遺に描かれた彦根もまた幻であるがゆえに、正解はない。文学散歩でもなく、路上観察学とも異なるスタイルだろう。このような、歩くことで風景とのつながりを確かめる「まなざし」を取り戻すことが、彦根での暮らしを豊かにする可能性の一つを示している。

(文責:経済学部講師 近藤紀章)

--講演の風景--

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

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