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講演会「ドイツに生きるスラブ民族・ソルブ人の言語と文化」

日 時:2023年12月19日(火)16:10~17:40

表 題:「ドイツに生きるスラブ民族・ソルブ人の言語と文化」

発表者:笹原 健(麗澤大学非常勤講師)

場 所:滋賀大学彦根キャンパス 研究工房(士魂商才館1F 経済経営研究所横)

開催様式:対面


講演会報告:

コロナ感染予防のため中断していた言語学系の講演会を今年から再開させました.その第3弾として,ドイツ国内に住む少数民族ソルブ人の言語であるソルブ語の言語研究をされている笹原健先生をお迎えして,「ドイツに生きるスラブ民族・ソルブ人の言語と文化」という題目で講演会を実施しました.

世界の言語には,語彙や文法に類似性があるものがあり,それらの言語は共通の祖先の言語から派生したと考えられます.そのような言語の系統を語族と呼び,ドイツ語やソルブ語はどちらもインド=ヨーロッパ語族に属します.しかしながら,ドイツ語はオランダ語やスウェーデン語などのゲルマン語派のグループに属し,ソルブ語はロシア語やポーランド語などのスラヴ語派のグループに属します.そのため,ドイツ語とソルブ語はお互いに理解可能ではありません.

笹原先生は,ソルブ語が話される地域(旧東ドイツ側のドレスデンに近い場所)で長年フィールドワークを実施され,今回の講演会では,ソルブ人がどこから来て,時代をどのように暮らし,今現在,どのような状態かについて説明してもらいました.ソルブ人はゲルマン人大移動の時代に,ゲルマン人等の移動を経て現在の地域周辺に来て定住し,フランク王国や東ドイツの時代などを経て,現在平和に暮らしています.一方,ソルブ人が話す言語は,文法的にはスラブ語の特徴も未だ保持しつつも,語彙の多くや一部文法がドイツ語の影響を受けたものがあります.それでもなお,ソルブ人は自身の言語を保持するために,いろいろな努力をしています.

ヨーロッパには,ソルブ人の他にもスペイン北部のバスク人(バスク語),主として東ヨーロッパに多いロマ人(ロマ語)など,少数民族の言語や文化があるとともに,移民や難民(最近だと,シリアからの大量の難民,そしてウクライナからの避難民)も多く定住し,独自の言語と文化を持っています.彼らの種の多様性を維持,保持し,そして研究者が何ができるかについて議論がなされました.

(文責:経済学部教授 野瀬昌彦)


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