<日時>2023年11月27日(月)14:30~16:00
<場所>滋賀大学彦根キャンパス 第4講義室(オンライン併用) ※リンクのキャンパスマップの④校舎棟へお進みください。
<申し込み>不要
講演者:小川 秀明(アルス・エレクトロニカ)
久納 鏡子(アルス・エレクトロニカ)
脇田 玲(慶応義塾大学教授)
司会者:中野 桂(滋賀大学教授)
アート思考×データサイエンスが、この先の未来をより良く変えるスタンダードになる。オーストリアの世界的クリエイティブ文化機関アルスエレクトロニカとの連携によるこの学際領域の可能性について、滋賀の地域課題や教育、さまざまな観点で語り合います。
この講演会は、サステナウィークの関連イベントの1つとして開催されました。
https://shiga-u.ac.jp/icr/local/activity/sustaina2023program/
講演報告
オーストリアの世界的クリエイティブ文化機関アルス・エレクトロニカ(以下、AE)は、アートは水道やガスなどと同じ生活基盤であるとの位置付けのもとに、1979年にリンツ市が出資し設立された。これまで40年以上活動を行ってきており、現在では、欧州員会のS+T+ARTSイニシアティブ(注:この名称はサイエンス、テクノロジーのイニシャルにアートを足したもの)の一翼を担い、欧州が将来的に直面するであろう諸課題を克服するためのイノベーションの創出への貢献が期待されている。
現在、滋賀大学では、トヨタ自動車及びトヨタグループ企業と一緒に取り組み、データをサイエンスするだけでなく、アートも活用して滋賀の未来を構想し、地域創生をはかっていく取り組みを開始している。今回の講演会では、AEフューチャーラボ共同代表の小川秀明氏、アンバサダーの久納鏡子氏、そして慶応義塾大学環境情報学部教授の脇田玲氏とともに、AEの未来思考やアート思考について紹介をしつつ、「データをサイエンスするだけでなく、アートする」ということの意味を、今年のAEのフェスティバルで発表された作品を通してディスカッションを行った。そのうえで、現在このアプローチを使って、滋賀県の地域課題等についてどのような取り組みが行われているかの紹介を行った。
この講演会を通じて、アートは物事を多角的に見ることによって、従来になかった新たな視点などの発見につながり、課題の抽出や発見につながるとともに、「アートはデータに感情表現を与え、より深いレベルで身体にメッセージを伝え、人々を行動に移させるためのパワーを与える」(脇田氏発表資料より)などの気づきが得られたように思う。
狭義のデータは、観測可能で定量化しうるものをさすことが多い。一方で、容易には観測されず、また定量化が困難なものも多い。しかしながら、虚数は単体では観測不可能とされていたが、量子力学の世界では虚数は観測可能で、重要な役割を果たすということが分かってきたらしい。この世界を構成しているのは、単に観測可能なものだけではない。確実に、容易には観測できないものも、重要な構成要素である。
小川氏によれば、AEの「ARS(アルス)」はアートとサイエンスが未分化の時代に、新しいものを構想する技術とアートが混在した単語であったという。その後、アートとサイエンスは独自のアプローチを進化させ、あたかも対立する考え方のようになってしまったが、混とんとした現代にあって、アートとサイエンスが再び手を取り合うことで、この先の未来をより良く変え、地域課題なども解決することができると思う。
(文責:経済学部長 中野桂)




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