経済学部・大学院経済学研究科

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不動点理論とそれを応用した最適化理論の研究

教授 近藤 豊将

2023年度もこれまでの研究を継続し、最適化問題で利用される非線形写像について、その不動点を近似するためのアルゴリズムを研究しました。また、共通不動点定理についても研究を行いました。研究にあたって公益財団法人 陵水学術後援会による研究助成を受けていることを感謝いたします。
 2023年度の成果としては4編の論文を公刊しました。そのうち3編(下の論文1,2,4)が不動点近似アルゴリズムの研究であり、1編(論文3)が共通不動点定理の研究です。不動点近似アルゴリズムを扱った論文はいずれも平均化した点列を用いる方法で、これまでに培ってきた方法を発展させたものです。特に論文2は筆者がこれまでに扱うことができていなかったBanach空間を舞台とした結果であり、筆者としては新境地を開拓したものと言えます。論文3は共通不動点の存在を示す結果であり、2022年の筆者自身の結果を改良するものです。これはFilomatというセルビアの有力なジャーナルに掲載することができました。
 また、コロナが収まってきたこともあり、海外出張できたことは大きな収穫でした。英語での発表や討論は何度経験しても上達しませんが、英語さえほぼ通じないルーマニアへの出張は緊張の連続でした。ですが、これまで有名な論文の著者名としてしか認識していなかった海外の一級の研究者とも交流することができ、大きな刺激になりました。余談ですが、ルーマニアやセルビアに不動点理論の有力な研究者が多くいることを以前から不思議に思っていましたが、ポーランド学派の人たちが移動していったのではないかという話を聞きました。Banach空間およびBanachの不動点定理で学術研究史に燦然と輝くStefan Banach先生は、ポーランド学派の総帥ともいえる人物なのです。詳しくは、『無限からの光芒:ポーランド学派の数学者たち』志賀浩二著(日本評論社)を参照してください。
 改めて、研究に対するご理解・ご支援に対して心より感謝いたします。

  1. "Strong convergence theorems by Martinez-Yanes-Xu projection method for mean-demiclosed mappings in Hilbert spaces," Rendiconti di Matematica e delle sue Applicazioni, Vol. 44, No. 1-2, 27-51, 2023. (査読有)
  2. "Strong convergence theorems using three-step mean iteration for Zamfirescu mappings in Banach spaces," Acta Mathematica Universitatis Comenianae, Vol. 92, No. 2, 165-178, 2023. (査読有)
  3. "A generalization of the common fixed point theorem for normally 2-generalized hybrid mappings in Hilbert spaces," Filomat, Vol 37, No 26, 9051-9062, 2023. (査読有)
  4. "Approximating common fixed points using Martinez-Yanes and Xu projection method and mean-valued iteration in Hilbert spaces," Linear and Nonlinear Analysis, Vol. 9, No. 1, 83-101, 2023. (査読有)



結果発表

1.結果発表の時期 ジャーナル掲載済み論文が4編。残りは今後投稿し、掲載を目指す。
2.結果発表の方法 海外での研究報告および国際ジャーナルへの論文掲載。


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