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公開授業第2回報告 2009/12/9

リスク研究センターセミナー
滋賀銀行協力公開授業【第2回】報告

本学の専門教育科目「信用リスクマネジメント」(担当教員:原村健二)の授業の一環として、滋賀銀行より下辻篤氏をお招きしての特別講義が行われました。

尚、【第1回】の授業の様子は こちら をご参照ください。

【第2回】演題:「地方銀行の統合リスク管理」
         講師:下辻 篤氏
       (滋賀銀行 経営管理部リスク統轄グループ課長)
        1988年滋賀銀行入行、ALM室勤務などを経て現職
     日時:12月9日(水)16:10~17:30
         会場:23番教室(第二校舎棟2階)
司会・進行:原村健二准教授(本学経済学部)


セミナーの様子
セミナー風景
下辻篤氏 セミナーの様子
下辻篤氏
セミナー風景
セミナーの様子 原村健二准教授
セミナー風景
原村健二准教授

【「地方銀行の統合リスク管理」 講演概要】
はじめに、「リスク」とは「損失」のことではなく、「損失の発生する可能性」のことであり、リスク管理とは、リスクの、(1)特定(Identify)、(2)計量化(Assess/Measure)、(3)監視(Monitor)、(4)制御(Control/Mitigate)のプロセスであるとの説明があった。
続いて、コインゲームの事例を通じてリスクの計量化のツールとしてのVaR(Value at Risk:一定の確率で一定の期間内に発生しうる最大損失額)の仕組みの説明が行なわれた後、VaRを利用することにより、これまで個別にリスク量を測定していた債券、株式、為替などの別種類のリスクについて、その発生確率の概念の導入とともに、比較・統合することが可能になったとの説明があった。他方、VaRには限界があり、VaRを超えるリスクの発生についても想定する必要がある点が指摘された。
また、金融機関が直面する各種リスクをVaRなどの統一的な尺度で計り、銀行の経営体力(自己資本)と比較する統合リスク管理の意義、役割を紹介した後、リスク量(最大損失量)を自己資本の範囲内に抑えることにより、銀行の負債である預金者の預金を守ることができるとの説明があった。
次に、滋賀銀行では、この統合リスク管理を、(1)Plan(収益計画、資本配賦)、(2)Do (計画実行、モニタリング)、(3)Check(リスク・リターン分析、戦略の見直し)のPDCサイクルを通じることにより、経営判断のための重要な情報を提供することができるツールとして経営に役立てているとの説明があり、同行が実施している各営業部門間のリスク・リターン分析の事例が紹介された。
最後に、「リスク管理に興味がある人は、様々な専門書等を利用してより深く勉強してほしい」との学生へのメッセージが伝えられ、セミナーは終了した。
なお、聴講者からは、「(これまで理解できなかった)VaRの仕組みがよく分かった」「滋賀銀行の事例を通じて、統合リスク管理の重要性が理解できた」「実務者から実例を聞くことにより、リスク管理に興味を持つことができ、とても有意義であった」等の意見が多く出された。
今回の講演の開催に対してご尽力いただいた滋賀銀行の関係者の方々や本学力石理事に対して、重ねて感謝の意を表したい。(本講演の参加者は約190名。)(文責 原村健二)

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