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公開授業第1回報告 2009/12/2

リスク研究センターセミナー
滋賀銀行協力公開授業【第1回】報告

本学の専門教育科目「信用リスクマネジメント」(担当教員:原村健二)の授業の一環として、滋賀銀行より椋昭夫氏をお招きしての特別講義が行われました。

尚、【第2回】の授業の様子は こちら をご参照ください。

【第1回】演題:「地方銀行の信用リスク管理」
         講師:椋 昭夫氏
       (滋賀銀行 経営管理部信用リスク管理グループ課長)
        1988年滋賀銀行入行、総合企画部・審査部などを経て現職
     日時:12月2日(水)16:10~17:30
         会場:23番教室(第二校舎棟2階)
司会・進行:原村健二准教授(本学経済学部)


セミナーの様子
セミナー風景
椋昭夫氏 原村健二准教授
椋昭夫氏
原村健二准教授
質問をする参加者 参加者の様子
質問をする参加者
参加者の様子

【「地方銀行の信用リスク管理」 講演概要】
はじめに、ヨーゼフ・シュンペーターの「自転車はブレーキを備えているために、そうでない場合よりも速く走ることができる」との言葉を引用し、リスク管理ができないとリスクテイクもできないことが強調された。また、信用リスクとは、貸したお金が返済されないことによる損失発生のリスクとも言えるが、信用リスク管理は、それらのリスク量を把握するとともにその損失を一定範囲に抑えるようにコントロール(削減)することであるとの説明があった。
次に、間接金融における銀行と取引先とのお金の流れや銀行の信用創造(預金が預金を生む)機能についての説明があり、わが国においては、全てがうまく回転していた高度成長時代とは違って、1990年代以降は、間接金融のべ-スである信用創造機能がうまく機能してこなくなっていること、また、そうした中で、すべてのリスクテイクを行う主体である銀行の信用リスク管理の果たす役割がますます重要になっているとの説明があった。
続いて、滋賀銀行の信用リスク管理の方法としては、(1) 取引先(貸出先)を内部格付しVaRなどの変換ロジックを用いて予想損失、最大損失、全体としてのリスク量を把握するマクロコントロールに加えて、(2) 取引先1社1社に対して、経営、事業、財務から判断した企業審査や案件審査を組織として行うミクロコントロールの2つの手法をベースとしているとの説明があり、その中で、「銀行の若い融資担当者に対して『お金の貸せるコンサルティングになれ』との指導を行っている」というエピソードが紹介された。
また、滋賀銀行が採用しているバーゼルII(新しい自己資本比率規制)の内部格付手法は、銀行が計測した信用リスク量を自己資本比率規制に応用するものであり、この手法は取引先の業況が悪化するとダイレクトに銀行の自己資本比率も悪くなるというシビアな仕組みとなっているが、同行は、この内部格付を取引先に開示して課題認識の共有をはかるなど、地域社会との共存共栄を図るためのコミュニケーションツールとしても利用しているとの説明があった。
最後に、「現在は100年に1度の経済危機であり、学生時代は目先のことだけを勉強するのではなく、世界に目を向けるとともに、マルクスやヘーゲルなどの古典を勉強して視野を広げ、将来の伸びしろを作ってほしい」との学生へのメッセージが伝えられ、セミナーは終了した。
なお、聴講者からは、「実例を踏まえた説明が多くて信用リスク管理の仕組みがよく分かり、とても有意義であった」「銀行がリスクをとるためにもリスク管理が重要であるということが理解することができた」「リスク管理を通じて地域社会との共存共栄を図るという取組みを聞いてとても驚いた(共感することができた)」等の意見が多く出された。
今回の講演の開催に対してご尽力いただいた滋賀銀行の関係者の方々並びに本学力石理事に対して、重ねて感謝の意を表したい。(本講演の参加者は約210名。)    (文責 原村健二)

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