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セミナー報告 2006/12/14

リスク研究センターセミナー報告

岡部靖憲氏
(東京大学名誉教授)

『 実験数学:経済時系列の異常の兆候とリスクをとらえる方法』

日時:平成18年12月14日(木)13:00~14:30
会場:経済学部第二校舎棟5階 545共同研究室
司会:中野裕治教授
岡部先生のセミナーの様子
岡部教授(右)と司会の中野教授(左)
セミナー風景 岡部先生
セミナー風景
岡部教授
(アブストラクト)
1989年以来, 離散時間のKM2O-ランジュヴァン方程式論を展開し, その理論を「データからモデル」の精神で複雑系現象の時系列の解析に応用し, 複雑系現象の確率論的モデリングの一つの統一的なアプローチを提案してきました. それを「実験数学」と名付けました. 実験数学の精神と指導原理(憲法)は それぞれ仏教の般若心教と非平衡統計物理学の揺動散逸定理から来ています. 今日の講演では, 時系列がある時刻で異常が発生することの数学的定義を 時系列の定常性の破れの度合いによって与え, それを定量的に検証するテストである 異常性のテスト―Test(ABN)を1987年10月17日に起こったブラックマンディと 2000年3月29日に起こったITバブルを含む時系列に適用したとき, これらの 異常の兆候を探る実証分析の結果を紹介しました.
上記の異常時刻前の時系列 の挙動を捉えることができました. しかし, Nikkei225の時系列においては その時刻の前にいくつかの異常時刻が現れ, Test(ABN)のみではそれらの 異常時刻の相違を与えることができません. そこで, その問題点を克服するために, 非線形予測誤差によって時系列のある時刻でのリスクを計測する リスクのテスト―Test(RSK)をNikkei225の時系列に適用し, 上記に述べた ブラックマンデイの前の異常時刻はプラザ合意の時刻の後にリスクが 発生していたことが分かりました. 講演では, 「実験数学」の一つの成果として, 深部低周波地震波と大脳皮質脳波の時系列に対して最近分かった「分離性」の発見という 実証分析の結果を紹介し, 最後に, 般若心教の真髄である「色則是空 空則是色」 から学んだ「実験数学」の哲学「空則是色 色則是色」を聞いてもらいました.
               主催:滋賀大学経済学部附属リスク研究センター
                TEL:0749-27-1404(内線396) FAX:0749-27-1189
                 e-mail address:risk@biwako.shiga-u.ac.jp

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