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セミナー報告 2006/9/20

リスク研究センターセミナー報告

楠田 浩二氏(本学経済学部助教授)

『A robust recursive utility under jump-diffusion information』

日時: 平成18年9月20日(水)15:30~17:00
会場: 経済学部第二校舎棟5階 545共同研究室
Dr.Kusuda
Dr.Kusuda
セミナー風景
楠田助教授

【楠田セミナー「A robust recursive utility under jump-diffusion information」報告】

本セミナーの要旨は以下の通り。将来生起し得る事象の殆どは, 宝くじのように正確な生起確率の分布を把握することが出来ない。経済学者は, 宝くじタイプの不確実性を「リスク」と呼ぶのに対し, 宝くじのように正確な生起確率の分布を把握出来ないタイプの不確実性を「ナイトの不確実性」或は「曖昧性」と呼んで峻別している。最近になって, Hansen,Sargent等により提案された頑健制御基準に基づく効用(以下, 「頑健効用」と呼ぶ)は, 曖昧性を織込みながら, 解析的な取扱い易さを確保していることから有望視されている。頑健効用を持つ消費者は, 将来生起し得る事象の最も有り得べき生起確率(「参照確率」と呼ぶ)を想定しながらも, これに全面的に信を置くことができないため, 真の生起確率が参照確率の下での期待効用を低下させる方向へ外れていた場合, すなわちダウンサイド・リスクを憂慮する。そこで, 参照確率と等価な確率集合上で, 従来効用に参照確率からの乖離を罰する「相対エントロピー」を加えた量の最小化を図ることによって, ダウンサイド・リスクに対して頑健な効用を構築する。Hansen,Sargent等が提案している頑健効用では, 従来効用として, 時間加法効用が, 情報構造としては, 日常的事件の生起をもたらす拡散情報が仮定されている。しかし, 時間加法効用については, リスク回避度, 異時点間変動回避度, 情報の多寡に対する選好度を自由に設定出来ないこと, 拡散情報については, 経済現象の説明において, 日常的事件のみならず非日常的事件が重要であることが指摘されている。本研究では, 従来の頑健効用における時間加法効用をリスク回避度, 異時点間変動回避度, 情報の多寡に対する選好度を自由に設定できる「再起的効用」に, 拡散情報を非日常的事件生起をも取り扱える「ジャンプ拡散情報」に一般化したジャンプ拡散情報下の再起的頑健効用が提案されている。そして, その一般化された効用の存在と一意性の十分条件が示され, 同効用の関数型, 時間的整合性, 情報選好度, 曖昧性回避度等の諸性質が分析されている。

               主催:滋賀大学経済学部附属リスク研究センター
                TEL:0749-27-1404(内線396) FAX:0749-27-1189
                 e-mail address:risk@biwako.shiga-u.ac.jp

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