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ビデオ映像を用いた青少年の運動・スポーツ支援に関するプロジェクト研究

ビデオ映像を用いた青少年の運動・スポーツ支援に関するプロジェクト研究

社会システム学科 准教授 道上 静香
研究目的
基礎的運動能力や各種スポーツの基礎・応用技術の獲得に先立って,日常生活における良いとされる姿勢を身につけることは重要である.良いとされる姿勢を身につけることは,各種スポーツにおけるパフォーマンスの向上に加えて,傷害予防に役立ち,心身の健康を維持する上でも重要な要素となる. 本研究では,ビデオ映像を用いた運動・スポーツ支援に関するプロジェクト研究の第1報として,本学部学生の立位姿勢について,ビデオ映像を用いて定性的及び定量的に分析し,基礎的運動能力や各種スポーツの基礎・応用技術の獲得に必要な基礎的データを得るとともに,姿勢改善のための示唆を得ることを目的とした.

研究方法
滋賀大学経済学部に在籍する学生70名を被験者とした.例年,実施されている体力測定時期に併せて,学生の立位姿勢及び歩行動作を側方及び後方から2台のデジタルVTRカメラ(SONY社製,DCR-PC110及びDCR‐VX2000)を用いて,60フィールド/秒,露出時間1/1000秒で撮影を行った.身体各部の角度は,フィールド画像再生プログラム(ディケイエイチ社製 DualStream)を用いて算出した.また,授業時間内において,2人1組による姿勢チェック,それに基づくストレッチ,バランスボールやボードを利用したバランス・トレーニング,自重を利用したコア・スタビリティのトレーニングなどを実施した.さらに,姿勢に関する内省報告も実施した.

研究結果及び考察
1) 本学部学生の立位姿勢を側方から見た場合,約39.7%の学生において身体全体が前/後傾した状態で,さらにそのうち84%の学生が前傾した状態で,すなわち爪先荷重で立位姿勢を保持していることが明らかとなった.また,約44.4%の学生において頚部が過度に前屈した「猫背」の状態で,約25.4%の学生において腰椎が過度に前湾した「出っ尻」の状態で,さらに約7.9%の学生において上体が前/後傾をした状態で立位姿勢を保持していることが明らかとなった.
2) 本学部学生の立位姿勢を後方から見た場合,約18.6%の学生において身体全体が右/左傾した状態で,すなわち片側荷重で,また,約11.4%の学生において頚部の側屈を含め脊柱が側湾した状態で,すなわち骨格の歪みが生じた状態で立位姿勢を保持していることが明らかとなった.さらに,約62.9%の学生は左右においてアンバランスな状態で立位姿勢を保持していることが明らかとなった.
3) 本学部学生の立位姿勢に関する内省報告の結果から,良いとされる立位姿勢について理解している学生が少なく,また,自身の身体に対する意識の低い学生が多い傾向にあることが明らかとなった.
良いとされる立位姿勢は,優れた基礎的運動能力や各種スポーツの基礎・応用技術への獲得,身体各部で生じる様々な不定愁訴の軽減,傷害の危険性からの回避などに役立つことから,本学部学生においては,自身の身体に意識を向け,良いとされる立位姿勢を日常生活の中で,あるいは簡便なトレーニング法を通じて獲得していくことが必要であり,そうすることが生涯を通じてよりよい運動生活への実践へと結びつき,健康でより充実した生活を形成することに寄与するものといえる.
今後の課題については,学生やスポーツ選手の基礎的運動能力や各種スポーツの基礎・応用技術に関する映像を獲得(すでに進行中)し,正課体育及び課外活動の教育において正しい基礎・応用技術の指導を提供するための知見を得ることである.また,映像のフィードバックシステムの構築を確立することも課題である.

なお,本研究成果の詳細は,『滋賀大学経済学部研究年報』第16巻に投稿予定である.
結果発表
 1.結果発表の時期 2009年12月
  2.結果発表の方法 『滋賀大学経済学部研究年報』第16巻(すでに原稿提出済み)



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