諸リスク要因が工業化に向けた政策とマクロ経済調整に及ぼす影響の検証
特任教授 小田野 純丸
ベトナムの急速な発展は、多方面で注目を集めている。ただ、急速な成長の背後には様々な課題が浮き彫りになってきていて、それらは社会科学的視点からは興味ある研究課題となっていることに気付かされた。例えば、インフラの欠如からもたらされる経済コストの評価、技術移転に関わる教育・訓練に向けた政策的取組と労働者の意識の変化、女性の社会的進出と彼女たちの位置付けなどである。
ベトナムの場合、対外収支上の制約が重くのしかかっているために、インフラ投資はBOT方式などに傾斜せざるを得ず、そのために改革開放姿勢を今以上に明確にする必要がある。同時に、工業団地をベースにして外資の受け入れが加速化している。こうした展開の過程で、技術移転を受け入れる体制、意識が十分に育っているか、女性労働者の参画が組み込まれているか(軽工業部門を中心に)、などについての研究が求められているという印象を持った。現地調査を展開させるために、現地の共同研究者との連携が不可欠となるが、幸いなことにハノイ国民経済大学と泰日工業大学から強い参画希望が出され、この協力関係を今後の共同研究に活かしていきたいと希望している。
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